胆道がんこのページを印刷する - 胆道がん

胆のうがん、胆管がん、十二指腸乳頭部がんを総称して胆道がんといいます。
胆道がんの死亡者数も年々増加しており、年間17,000人ほどです。
解剖学的位置の特性やがんによる臨床症状の乏しさにより、予後の悪いがんのひとつとされています。

 

胆のうがん

胆のうがんは、1:2と女性に多く、危険因子として胆管非拡張型の膵胆管合流異常などがあります。

症状としては右上腹部痛が最も多く、ほかには吐き気、体重減少、黄疸などがあります。

診断には、まず血液検査と腹部超音波検査が施行されます。
血液検査では、胆管が閉塞していれば肝胆道系の酵素が上昇し、腫瘍マーカーとしてCA19-9、CEAが上昇する場合があります。
腹部超音波検査では胆のうの腫瘍が描出されます。平べったく、大きさが10mm以上あり、検査ごとに大きくなっている場合はがんが疑われます。
がんが疑われれば、超音波内視鏡、造影CT、MRI(MRCP)などで診断をつけ、進展度を調べます。

確定診断には、細胞を採取して病理検査が必要になりますが、その場合は内視鏡検査(ERCP)を行い、胆のう内の胆汁を採取して、病理検査を行います。

唯一の根治治療は外科手術になります。解剖学的な位置から、肝臓や十二指腸など周りの臓器に浸潤がみられることが多く、がんを取りきることが重要となります。

 

胆管がん

胆管がんは、2:1と男性に多く、危険因子として膵胆管合流異常や原発性硬化性胆管炎などがあります。

症状としては90%が黄疸で発見されます。他には腹痛、発熱、食欲不振などがあります。

診断には、まず血液検査と腹部超音波検査が施行されます。
血液検査では、胆管が閉塞していれば肝胆道系の酵素が上昇し、腫瘍マーカーとしてCA19-9、CEAが上昇する場合があります。
腹部超音波検査で胆管の拡張が描出されれば、閉塞しているところを推定できます。
がんが疑われれば、造影CT、MRI(MRCP)などでがんがどこにあるかと進展度を調べます。病理検査のためには、内視鏡検査(ERCP)を行い、胆汁を採ってきたり、胆管をブラシでこすったりして細胞を採ってきてがんかどうかを診断します。
また、黄疸がある場合は、がんで狭窄した場所にステントを置いて胆汁の流れをよくして黄疸の治療を行います。

唯一の根治治療は外科手術になります。場所によって、上部にあれば胆管と一緒に肝臓を切除したり、中下部であれば膵臓の一部と十二指腸と胃の一部を切除したりします。

 

乳頭部がん

乳頭部がんは、1:0.8と男性に多く、危険因子はわかっていません。

症状としては、黄疸、発熱、腹痛が多いです。

診断には、まず血液検査と腹部超音波検査が施行されます。
血液検査では、胆管が閉塞していれば肝胆道系の酵素が上昇し、腫瘍マーカーとしてCA19-9、CEAが上昇する場合があります。
腹部超音波検査で胆管の拡張が描出されれば、閉塞しているところを推定できます。
がんが疑われれば、内視鏡で見て組織を採ってきて診断します。超音波内視鏡、造影CTなどで進展度、転移などを調べます。

唯一の根治治療は外科手術になります。進行していれば、膵臓の一部と十二指腸と胃の一部を切除します。早期であれば、内視鏡的切除や縮小手術が可能な場合もあります。
進展度や転移などにより切除できない場合は、化学療法、放射線療法を施行する場合があります。
化学療法は標準的な治療法が確立しておらず、効果が期待しにくいがんのひとつです。
また胆管の閉塞が認められれば、内視鏡を用いて金属の管(ステント)を入れ通過させるようにします。
全身状態が悪い方には、症状を抑える治療のみ行うこともあります。