外科・消化器外科・乳腺外科このページを印刷する - 外科・消化器外科・乳腺外科

TEL / 0827-34-1000(内線3009)

概要

当科は現在スタッフ11名、専攻医2名の13人で日々の診療を行っております。13名中女性が4名でその割合は30.8%と多様性から理想とされる35%に若干足りない状況ではありますが、女性の進出が確実に進んでおります。麻酔科にも女性医師は多く、今のところ選択は出来かねますが、全く女性のみで手術が行われる場合もしばしばあります。

また男性スタッフの育休(4週間)の取得や当直明けの半日休暇等働き方改革にも積極的に取り組んでおります。

そういう状況ではありますが、外科の手術件数の年次推移を示しますと2020年21年とCOVID-19の影響で減少したものの徐々に回復し、2023年の総件数は過去最高の671件で、腹腔鏡下手術も410件と過去最高となっております。更に総数に対する腹腔鏡下手術の割合も61.1%と初めて6割を超えております。

科としては日本外科学会や日本消化器外科学会といった主な学会の修練施設をはじめとして肝胆膵外科学会や胃癌学会、乳癌学会等の施設認定も有しております。

また個人としては外科指導医3名、外科専門医11名、消化器外科指導医5名、消化器外科専門医6名、内視鏡技術認定4名、肝胆膵高度技能指導医1名、肝胆膵高度技能専門医1名、食道科認定医1名、乳腺専門医2名、臨床遺伝指導医1名、日本ロボット外科学会専門医 (Robo Doc certificate 国内B級)2名、ICD(Infection Control Doctor)2名等々各種取得しております。

学術活動も活発で、2023年は学会発表を51件行っており、毎年英文論文も出版しております。今年は前半だけで既に4篇の英文が出版され、世界に情報を発信しております。


 

余談ですが、本年7月当科の青木が英文誌の表紙を飾っております。日々の診療や若手の育成に加えて学術活動は今後とも重視して参ります。

 

主要診療内容 

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食道がん

食道がん

 

食道がんの特徴

食道がんは予後が悪く治りにくい癌の一つであります。近年様々な化学療法剤が開発され、なかでも免疫チェックポイント阻害剤(簡単にいうと免疫細胞が癌細胞を攻撃するのを助ける薬)が2021年から保険適応となり治る可能性が拡がった癌になりつつあります。
しかし今日でも食道がんの治療成績は悪く5年生存率(治癒する確率)は根治手術後でも4割程度です。特に進行がんの場合、手術前に化学療法を行うことにより病期を少しでも下げて(ダウン ステージ)根治手術を行い治癒する可能性が少しでも高めるようにします。

  
 

食道がんの根治手術

食道がんの発生部位のうち一番多いのは胸部の食道がんです。以下は胸部食道がんに対する手術について述べます。
胸部食道癌のなかでも進行がんの場合一般的にリンパ節転移が胸部 腹部 頸部へ広範囲にしかも早期から起こすことが知られています。胸部食道亜全摘(胸部・腹部の食道を切除します)とともに胸部 腹部 頸部3領域のリンパ節郭清を行います。消化器がんの手術のなかでも患者さんの体への負担(手術侵襲といいます)は相当に大きい手術です。

当院では2013年より胸部操作には胸腔鏡を腹部操作には腹腔鏡をいち早く取り入れ低侵襲手術(体に負担の少ない手術)を行って参りました。
具体的には腹臥位胸腔鏡下食道亜全摘術(うつ伏せの状態で鏡視下に胸部・腹部食道を切除する)および3領域リンパ清郭清が基本手術手技です。腹部操作では腹部のリンパ節の郭清をおこなうとともに食道切除後の新たな消化管再建経路を作成する目的(新たに食べ物の通り道を作成する目的)で胃を図のように切除し胃管を作成しその胃管を頸部まで挙上後、頸部食道と胃管の吻合を行います。
  
  

以上の手術を体への負担を少なくするために胸部操作・腹部操作ともに胸鏡視下手術を取り入れております。
  

早期がんの場合、術前化学療法はおこなわず手術を優先します。また頸部のリンパ節郭清を省略する場合があります。
 

手術の併発症

食道がんの主だった術後併発症には反回神経麻痺、縫合不全、肺炎があります。
それぞれに対する当科での取り組みの一部をご紹介いたします。

反回神経麻痺

反回神経とは声帯の運動を司っている神経で左右1本ずつあります。食道がんの場合その反回神経周囲のリンパ節に癌の転移を高率に起こすことがわかっております(約30%)。したがってその部位のリンパ節郭清をしっかりとおこなわなければなりませんが、その神経を無理に触ったり牽引したりすると神経が麻痺してしまいその結果手術後に嗄声(声がかすれる)を起こしたり嚥下(飲み込み)が不良となったり重篤な肺炎を併発することがあります。
そのような神経の麻痺を予防しつつ確実にリンパ節郭清を行うことを目的に当科では持続的反回神経モニタリングシステムを使用し良好な成績を収めております。
  
  
 

縫合不全

消化管と消化管をつないだ場所(吻合部)がうまくくっつかずに消化液が吻合部の外に漏れることを縫合不全といいます。食道癌の場合、頸部食道と胃管を吻合しますが胃管先端の血流が低下する傾向にあり縫合不全を起こすことがあります。
当科では胃管先端の血流を術中にICGテストで可視化することにより胃管血流のベストな部位で吻合し良好な成績を収めております。
  
  
 

肺炎

胸部操作を胸腔鏡で行うようになり肺炎自体が減少しました。しかし高齢な方では肺炎あるいは無気肺を起こしやすいため呼吸リハビリチームとともに更なる工夫を行っております。
 

手術前後の経過

手術前よりリハビリ科による呼吸リハビリと栄養科による栄養指導を開始し体力と栄養状態の強化を行い手術に臨んでいただきます。またそれらは手術後も継続します。禁酒禁煙は絶対に必要です。
当科では早期退院・早期社会復帰を目標にし、手術後週に1回リハビリ科、栄養科、薬剤科、医師、看護師で症例検討を行っております。
入院期間は手術後おおよそ2週間を目標にします。患者さんご本人の年齢、体力、術後の併発症により入院期間が長くなる可能性はありますが年々短縮傾向にあります。
  
 

今後の課題

当科へは岩国市はもとより西は下松・光方面、東は大竹方面、北は山口県北、南は大島・柳井・平生方面から患者さんが来られます。
高齢な患者さんが比較的多くまたある程度がんが進行したかたが多い特徴があります。進行食道がんに対しては手術のみでは予後の改善は望めません。先に述べました免疫チェックポイント阻害剤を含めた化学療法あるいは放射線療法を併用した集学的な治療が必要です。
当科では患者さんひとりひとりにあった治療方法の選択を行い丁寧な診療を心掛けております。
 

 
胃がん領域

胃がん領域

 

胃がんの治療

当院は山口県東部唯一の、日本胃がん学会 胃がん認定施設です。
胃がんの治療には、手術治療、内視鏡治療、薬物治療など様々な治療法がありますが、どの治療法を選ぶかについては専門医の判断が必要になります。がんの状態によって、手術治療と内視鏡治療、手術治療と薬物治療など、治療法を組み合わせて行う場合もあります。
 

胃がんの手術

胃がんの手術には、従来から行われている開腹手術(お腹を大きく開けて行う手術)と、低侵襲手術(キズの小さな手術、体に負担の少ない手術)があります。
低侵襲手術には、腹腔鏡手術(お腹に小さな穴を何か所かあけて、長いハサミやピンセットを用いて手術をする)とロボット支援手術(お腹に小さな穴を何か所かあけて、ロボットアームに装着されたハサミやピンセットを、人間が操作して手術をする)があります。
当院では、開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援手術のいずれも対応可能です。
どの手術法が適しているかは専門医と相談しながら決めていきます。

胃癌の手術は、胃切除とリンパ節郭清をセットで行うことが基本となりますが、開腹手術・腹腔鏡手術・ロボット支援手術、のいずれで手術しても、お腹の中で行うことは同じです。
腹腔鏡手術・ロボット支援手術では、キズが小さいため体の負担が少なく、回復が早いため入院日数が短くなることが利点です。ただし、小さなキズから精密な手術を行うため、高度な技術が必要で、専門の資格をもった外科医(日本内視鏡外科学会認定による腹腔鏡下胃がん手術の技術認定取得医)の執刀または手術指導が必要です。
ロボット支援手術は、腹腔鏡手術がさらに進化した手術です。多関節機能(ロボットアームに装着されたハサミやピンセットは多関節機能を持つため、人間の手のように自由に曲げられる)、270度の可動域、手振れ補正機能、などがあり、まっすぐな手術器具を用いて手術をする腹腔鏡手術の欠点を補完することができます。細かい部分も拡大されて見えるので、顕微鏡手術のように精密な作業ができます。
ロボット支援胃がん手術は腹腔鏡下胃がん手術に比べ、より精密に正確な手術操作ができるため、術後合併症を減らし、入院日数を減らすとされています。
さらに、2023年の報告では、ロボット支援胃がん手術の方が、腹腔鏡下胃がん手術よりも、3年全生存率(手術をしてからの寿命)を延長させることが報告され、より優れた手術であることが示されました。



このように、ロボット支援胃がん手術は、術後合併症を減らし、予後を改善させることが報告されていますが、専門的な手術になるため、保険診療でロボット支援胃がん手術を受けられる施設は限られています。
当院では、ロボット外科学会専門医によるロボット支援胃がん手術を保険診療で受けることができます。
 


ロボット支援胃がん手術で、血管のまわりを剥離している動画です。血管のまわりの黄色の部分は内臓脂肪で、リンパ節が含まれています。肝臓にいく血管を残すため、綿テープで把持しています。リンパ節を含む内臓脂肪を血管から剥離し、肝臓にいく血管を残しつつ、胃にいく血管をクリップとよばれる器具で遮断した後、切離しています。ロボット支援手術の器具はどれも、多関節機能があり自由に曲がるので、正確な手術操作をすることができます。

ロボット支援胃がん手術で、胃の上半分を切除(噴門側胃切除)したあとで、食道と胃を縫い合わせている動画です。食道断端のステープルとよばれる部分をハサミで切り落とし、糸がついている針で、食道と胃を縫い合わせています。針の大きさは17mmと小さく、糸も細いですが、ロボット支援手術では拡大されて見えるので、より精密に正確に縫うことができます。縫った後は、糸を結んでいますが、ここでも多関節機能(人間の手のように自由に動かせる)が活かされています。

 

胃がん手術までの流れ

手術までには、外来でさまざまな検査を行います。
胃がんの状態(胃がんの位置、リンパ節転移があるかどうか、など)を調べるための胃カメラ検査やCT検査を行い、胃をどれくらい切除するかなど、手術内容について相談します。また、全身の体力チェックの検査(心臓・肺・肝臓・腎臓などの機能の検査)を行って、手術の負担に体が耐えられるかを調べます。術後に肺炎や痰詰まりを起こさないよう、手術直前まで、呼吸の力をきたえるリハビリを自主練習します。呼吸のリハビリを行うことで、手術後に深呼吸や痰を出す訓練をすることができます。
タバコを吸っている方は禁煙が必要です。
また、虫歯や歯周病がある場合は、口の中の菌が肺に入ることで手術後の肺炎をおこしやすくなりますので、かかりつけの歯科で口のクリーニングをしてもらっておきましょう。
 

胃がん手術の入院の流れ

入院期間は、開腹手術では2週間程度、腹腔鏡手術・ロボット支援下手術では10日程度になります(詳しいスケジュールについては、外来を受診された際、スケジュール表をさしあげて説明いたします)。通常は、手術日の前日に入院となります。手術後は、体の回復の具合をみながら、飲水→重湯→3分粥→5分粥→7分粥→全粥、と徐々に食事内容が変わっていきます。腹腔鏡手術やロボット支援下手術などのキズの小さな手術では、手術の翌日から、立つ練習や歩く練習をすることができます。
食事開始時と退院時のタイミングで、栄養士からの食事療法指導があり、胃の手術後の食べ方のコツを学びます。
退院後は、1~2週間くらいの療養期間を過ごし、徐々に日常生活に戻っていきます(仕事をされている方は、術後1か月程度の休みをとることをおすすめしています)。
手術後の体調のチェックや、がんの再発がないかを調べる検査のため、退院後も定期的に外来に通院することになります。
 

胃がん手術後の食事療法

胃がん手術後の食事のコツは、ゆっくり時間をかけて、よく噛んで食べることです。手術前とちがい、食べ物をためる能力が落ちるので、30分以上かけて食べましょう。
1回の食事量を減らして、その分、食事の回数を増やすこと(朝・昼・夕の食事に加え、10時と3時に軽い食事やおやつを食べる、など)も栄養摂取には大切です。唾液の中にも消化酵素が含まれていますので、よく噛んで、唾液と混ぜることで、消化がよくなって腸の負担を軽くすることができます。
手術後によく噛むことが大切になるので、手術前には、かかりつけの歯科を受診し、虫歯や歯周病など口の中のチェックとクリーニングをしてもらっておきましょう(入れ歯をお持ちの方は、入れ歯の調子もみてもらいましょう)。
退院するときに栄養士から食事療法の説明がありますが、自宅で過ごしてみて気になる点が出てきたら、外来通院のときにまた相談することもできます。手術後、半年くらいたつと、食事のコツをつかんできますので、あせらずに気長に食事療法に慣れていきましょう。
 

当院での胃がん手術の治療成績

過去10年間の、当院での胃がん手術の治療成績をお示しします。
5年生存率は、全国がんセンター協議会(全がん協)のデータと比較しても良好な成績でした。

 

当院を受診するには

腹腔鏡手術は、キズの小さな手術・体の負担が少ない手術ですが、お腹の中で行うこと(胃切除+リンパ節郭清)は、開腹手術で行うことと同じことをしています。小さなキズから精密な手術を行うため、高度な技術が必要で、専門の資格をもった外科医(日本内視鏡外科学会認定による腹腔鏡下胃がん手術の技術認定取得医)の執刀または手術指導が必要です。
ロボット支援手術は、腹腔鏡手術がさらに進化した最新の手術で、より精密に正確な手術を行うことができます。ロボット支援胃がん手術は、術後合併症を減らし、予後を改善させることが報告されていますが、専門的な手術になるため、保険診療でロボット支援胃がん手術を受けられる施設は限られています。
当院は、山口県東部で唯一、日本内視鏡外科学会認定による腹腔鏡下胃がん手術の技術認定取得医が在籍しており、ロボット外科学会専門医によるロボット支援胃がん手術を保険診療で受けることができます。ほとんどの胃がん手術をロボット支援下手術で行うことができますが、ロボット支援手術の適応とならない場合もありますので、一度、ご相談ください。
胃がんと診断されたら、また、胃がんについて何か心配なことがあれば、当院外来へご相談ください。かかりつけの先生がいらっしゃる場合は、かかりつけの先生から当院の地域連携室を介して、受診の予約をとることもできます。

 
大腸領域

大腸領域

 

大腸癌とは?

大腸がんとは大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍で、その発生部位から「結腸がん」と「直腸がん」に分けられます。
大腸がんは日本人が比較的かかりやすいがんの一つで、2018年の調べでは罹患数(かかった数)で男女合わせると日本人に最も多いがんです。罹患数が多いことから死亡者数も多いのですが、大腸がんは消化器がんの中で最も5年相対生存率(治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標)が高く、適切に治療すれば70%以上の人が5年生存を期待できます。

参考文献:がんの統計2023, がん研究振興財団


山口県は県別のがん検診受診率で全国ワースト1~2位です。
大腸がんは日本人に多く、早く治療すれば十分治る可能性のある病気ですが、当然進行すると治療が困難になる場合もあります。
大腸がんは放置すると腸閉塞となったり穿孔(穴があく)して腹膜炎になったりして、腹痛や嘔吐を来し、つらい自覚症状を伴う可能性があります。検診を受診して早期に適切な治療を受けることが、生活の質を保つうえでも重要です。

参考文献:がん情報サービス がん検診受診率

元データ:がん検診に関する統計データのダウンロード 4.がん検診受診率(国民生活基礎調査)

 

概要

  • 当院では大腸がん手術を開腹、腹腔鏡、ロボットなどを用いて手術を行っております。
    手術は、内視鏡外科学会技術認定取得医である谷口を中心に各外科スタッフで診療にあたります。近年は、開腹手術の割合は減少傾向で、80%以上の症例で鏡視下手術を行っておりますが、2022年からは直腸癌に対するロボット支援下手術も開始しており、その割合は増加傾向です。
  • また、術後の患者さんを中心に化学療法にも力を入れており、外来や入院で患者さんのニーズや全身状態、病気の状態や遺伝子情報に基づき、患者さんにとって最善の治療を共に模索しています。当院は岡山大学を中核病院としてがんゲノム医療連携病院に指定されており、従来の治療法で限界を迎えた患者さんにはがんゲノムプロファイリング検査が可能で、治験や臨床試験で何か治療ができないかを検討することができます。

 

主な診療内容

  • 主に結腸がん、直腸がんに対する手術・化学療法を行います。低侵襲治療として大腸がんに対する腹腔鏡手術や直腸がんに対するロボット支援下手術を行っています。
  • 山口県東部地区を中心に、県北や広島県西部にかけて広い医療圏をカバーし、手術や化学療法など全国的にも遜色ない医療を心掛けて治療を行っています。
  • 誠に申し訳ありませんが、痔や直腸脱などの良性疾患や、クローン病・潰瘍性大腸炎などといった炎症性腸疾患などについては当院では治療が難しい場合があり、他院にご紹介させていただく場合があります。

手術

腹腔鏡手術

腹腔鏡手術は従来の開腹手術と比較して、傷が小さく出血量が少なく、術後の回復が早いことが知られています。当院でも大腸がん手術については、80%以上を腹腔鏡手術で施行しています。
術中の癒着の程度やがんの進行具合、腸閉塞などによる腸管拡張の程度などによっては開腹手術が必要であったり、腹腔鏡から開腹移行となったりする場合もありますが、近年ではまれです。
岩国医療センターでは、山口県内には少数しかいない大腸領域で内視鏡外科技術認定取得医が執刀または手術監督することで、安全でクオリティの高い手術をご提供することができます。

ロボット支援下手術

大腸領域におけるロボット支援下手術は平成30年から直腸領域で保険収載されました。手術支援ロボット(Da VinciⓇ、Intuitive Surgical社)を用いて手術を行います。基本的には腹腔鏡手術と同じように小さい傷で手術を行います。

ロボット手術は全自動の手術ではなく、術者が同じ手術室内でサージョンコンソールという機械に向き合って患者さんの体とドッキングしたロボット(ペイシェントカート)の操作を行って手術をすることになります。ロボット手術は手振れが少なく術者の思い通りに動く多関節の器械を用いて手術を行うため、腹腔鏡手術では難しい狭い骨盤内を安定した視野で確実な手術ができるというメリットがあります。当院でも令和4年から直腸領域で開始して、現在まで安全に継続しています。
山口県下の大腸領域で導入している施設はまだ数施設であり、当院は県下でも先駆けて導入している施設のひとつです。

化学療法

切除不能進行大腸がんの予後は5FUが出現する前、1950年代頃には約半年程度でしたが、昨今の化学療法の進歩により現在では3年を目指すようになりました。
大腸がんの化学療法は日進月歩で、消化器がん分野で最も進歩しているといっても過言ではない一方で、使用できる薬剤や推奨されるレジメンが非常に細分化されており、日常的に大腸がん化学療法を施行していない医師には煩雑でわかりにくいものとなっております。

現在当科では大腸がんで手術を受けられた患者さんを中心に、それぞれの元気さや治療の目的、癌の局在、遺伝子型などに応じて多岐にわたる化学療法を継続的に実施しております。
大腸がんに対する化学療法は比較的効果が期待できるため、根治切除がいったん困難と考えられた症例でも化学療法を行うことで切除が可能となる患者さんもおられます。当然、ガイドラインに則った治療は全国のハイボリュームセンターと遜色なくご提供が可能ですし、当院は岡山大学を中核としたがんゲノム医療連携病院に認定されており、がんゲノムプロファイリング検査を行うことで、標準治療から逸脱した患者さんでも約10%に新規治療の治験や臨床試験のチャンスをご提案できる体制が整っています。

 

治療実績

2022年末から直腸疾患に対するロボット手術を開始しており、2023年は順調に症例を重ねることができました。安全に開始することができており徐々に増加傾向です。また、2023年はCOVIDが落ち着いたこともあり、極度の進行癌が減少したためMIS(低侵襲手術)率が93.9%と高率でした。今後はさらに腹腔鏡やロボット手術といった低侵襲手術を進めていく予定です。

大腸癌手術件数

過去10年間の大腸癌症例の長期予後についてを示します。
5年全生存率はStage Ⅰ 91.8%、II 82.0%、III 80.4%、IV 22.1%であり、5年疾患特異的生存率はStage I 98.2%、II 91.2%、III 88.3%、IV 25.2%でした。全がん協のデータと比較しても遜色ない長期予後です。

全生存期間

癌特異的生存期間

 

大腸がんで当院を受診するには?

  1. 初診日は水・金曜日を中心にお受けしております。お急ぎの場合はその限りではありませんので当院外来にご相談ください。
  2. 紹介していただくには、かかりつけの先生から当院地域連携室を介して受診予約をおとりください。かかりつけの先生からの診療情報提供書 (紹介状) があれば、よりスムーズです。
  3. (かかりつけの先生へ)大腸がん関連で外来予約枠がいっぱいであったり、より個別に対応を要することなどあったりしましたら、外科 谷口宛てにご一報いただければ可能な限り対応いたします。

 

お問い合わせ

平日10時~16時には外来スタッフ(看護師やメディカルアシスタント)にご連絡いただければ可能な限り対応いたします。主治医や担当医が不在であったり手術中であったり即座に対応できない場合は後日ご連絡する場合があります。

なにかご不明な点やご質問などありましたらお気軽にお申し付けください。
 

 
肝胆膵領域

肝胆膵領域

 

肝切除

肝切除件数を示します。2022年肝切除件数は減りました。
当院の特徴としてはやはり高齢の患者さんが多い事で、2022年に肝切除を受けられた方の平均年齢は73歳でありました。

年間手術件数

腹腔鏡手術割合

下段は腹腔鏡手術の割合を示しておりますが、2021年からは半分以上が腹腔鏡下肝切除となっております。この傾向はもう少し続くと考えられます。

次に過去10年間の肝切除の原因疾患を示しております。
2022年は肝細胞癌が極端に減少しており、肝切除件数の減少の主な原因と思われます。肝細胞癌は肝炎ウイルスを原因とする事が多く、肝炎患者さんの減少が影響している事は間違いありませんが、生活習慣病として増加している非アルコール性脂肪肝を原因とする肝細胞癌の増加は最近の傾向ではあります。

また当科では胆嚢癌の症例が多かったのが、近年減少しており、こちらも肝切除件数の減少の原因のひとつと考えております。肝内結石もここ5年間見られなくなった疾患であります。原因としては内視鏡的治療の進歩が挙げられます。つまり内視鏡を用いて肝内の結石を除去する治療の普及です。

一方最近増えている疾患として肝内胆管癌があります。2013年から2016年まで4年間で1例だったのが2017年から2022年までの6年間に細胆管細胞癌も含めて15例と著明に増加しております。
肝内胆管癌は原発性肝癌では肝細胞癌に次ぐ頻度の疾患であります。特徴としては非常に予後の悪い癌で特にリンパ節転移を高頻度に認めるため手術では肝細胞癌と異なり、肝切除に加えてリンパ節郭清を必要とする疾患です。

近年増えている腹腔鏡手術ですが、下のように腫瘍を染めたり(左図矢印)、血流のある部分だけ染めたり(右図星印)するICG蛍光法という手技で、腫瘍の正確な位置を術中にリアルタイムに確認しながら過不足のない切除が出来るようになっております。技術や画像の進歩で術式が変化して来ております。

原発性肝癌の代表的疾患である肝細胞癌の当科での術後生存曲線を示します。
StageⅣBという進んだ病期の方の予後が良い結果となっておりますが、これは破裂肝癌といって発見時に肝細胞癌が破裂して腹腔内に散らばった状態の方で後に切除を行った方や肺転移を認めた方が肝切除後の治療に良く反応して長期生存された結果であります。肝細胞癌は有効な抗癌剤もでて来ておりますし、再発例でも予後は向上しつつあります。
 

膵領域

概要

手術の対象となる膵疾患は代表的なものは膵癌ですが、それ以外の悪性膵腫瘍、低悪性度膵腫瘍や良性でも悪性化する可能性のある腫瘍、更には症状を伴う慢性膵炎等様々です。
膵癌は固形癌の中でも最も予後不良で、しかも色々な癌が検診等で減少する中、増加しております。
下記に示す通り2022年の我が国の死亡数では男性で4位、女性では3位となっておりますが…  

がん死亡数の順位(2022年)
  1位 2 3 4 5  
男女計 大腸 膵臓 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸8位
男性 大腸 膵臓 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸7位
女性 大腸 膵臓 乳房 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸10位

元データ:人口動態統計がん死亡データ(numberシート)
 

2023年の最新のデータではかつて死亡数1位であった胃癌を抜いて第3位となっております。(中国新聞より)
グラフでは胃癌・肝臓癌は減っており、肺癌・大腸癌が頭打ちなのに対して膵癌は右肩上がりとなっております。膵癌の問題は早期発見が難しく、他の癌のような検診が行われていない事です。
糖尿病の方は定期的に腹部超音波やCT検査を受けられる事を強くお勧めします。ご家族に膵癌が多い方も危険因子です。アメリカでは2030年までに癌関連死因の2位になる見込みとされており日本も他人事ではないと思われます。

また膵臓の手術は解剖学的特徴から膵疾患以外にも胆道系や十二指腸の悪性腫瘍などにも行われます。胆道癌は一般的に余り馴染みがありませんが、膵癌の次に予後の悪い悪性腫瘍で、総数は少ないもののこちらも増加傾向にある疾患で、いずれ死亡数の上位を占める可能性があると思われます。

膵臓は胃の裏側に位置し、十二指腸に接している容積が80ml程の臓器です。頭部・体部・尾部に分かれ、頭部には肝臓で生成された胆汁を運ぶ胆管が通ります。膵臓の背中側には門脈という肝臓に向かう太い静脈や上腸間膜動脈という消化管に分布する太い動脈が走行しております。また内分泌および外分泌という二つの重要な機能を有しております。

 

膵切除術

以下に当科で膵臓の手術を施行した主な原疾患の推移を示します。

通常型膵管癌(膵癌)が約半数と最も多くなっておりますが、他にも膵腺房細胞癌、神経内分泌腫瘍、粘液性嚢胞腺癌、胆嚢癌、慢性膵炎等まれな腫瘍や良性疾患も対象となります。

次に膵切除の過去10年間の術式別推移を示します。膵頭切除および尾側膵切除が主体です。尾側膵切除は近年ほとんどが腹腔鏡手術となっております。

本年は前半で膵切除が11件となっており、年間で20件を超えるかどうかというところです。今後この領域の手術は増えると思われます。
当科は日本肝胆膵外科学会の高度技能医修練施設として認定されております。消化器内科も多数の胆膵内視鏡検査を行なっており、超音波内視鏡を用いた組織診断を基本として内科・外科・放射線科で検討会を行って症例の治療方針を決定しております。

 

膵癌の術後生存率を示します。StageⅠの5年生存率は50.0%と全がん協の46.1%より良好でしたが、StageⅡでは15.2%と全がん協の20.1%より不良でした。

当院での切除例の平均年齢が72歳を超えているのは一つの原因と思われますが、術前術後の化学療法の強化等課題は多いと思われます。膵癌に対する抗癌剤は選択肢が増えており、全般的に予後は向上しつつあります。また当院には2025年より新たな放射線治療装置も導入される事からその効果も期待されます。

日本肝胆膵外科学会の高度技能医修練施設は現時点で山口県には山口大学と当院の2施設のみです。肝胆膵領域の手術は複雑なものが多く、修練施設での診療をお勧めします。

 

胆嚢摘出

当院での過去10年間の胆嚢摘出術の件数の推移を示します。ご覧のように殆どが腹腔鏡の手術でありますが、いまだに開腹となる症例もある程度あります。2022年の件数は96件でありました。

下段に96例の内訳を示しておりますが、緊急手術が36例ありました。緊急手術例の方が年齢が高く、手術時間も多く、在院日数も多いのが判ります。
緊急手術36例中腹腔鏡で出来たのは27例で9例が開腹手術となっております。

近年の急性胆嚢炎の手術としては手術困難例に対する回避手術がガイドラインに掲載された事が大きく影響しております。
図のように胆嚢を全部取るのが難しい場合には無理はせずに安全な部分で切除を行う事によって腹腔鏡でも完遂する事が可能となりました。

注意すべきは未だに1%に偶発胆嚢癌と云われる癌が見つかる事です。特に高齢者の急性胆嚢炎では癌の診断が難しく、取った標本で初めて癌が判明する事があります。1%というと少なく感じる方もおられるかも知れませんが、2022年当院で胆嚢摘出術を受けた方が96名ですからひとり癌が出ても不思議じゃない状況です。癌が判明した場合、色んな要素を検討して追加切除を行う事もあります。

当院は日本肝胆膵外科学会の認定する高度技能医修練施設であり、山口県では当院と山口大学の2施設のみであります。何か有れば気軽にご相談ください。
 

 
乳腺領域

乳腺領域

 

はじめに

ホームページをご覧いただきありがとうございます。
当院外科、乳腺領域は2022年から2名の専門医(男性医師1名、女性医師1名)で診療を行っています。乳がんはどんどん増加傾向にあり、今や9人に1人が乳がんになるといわれています。
2024年1月からは、当院でも人工乳房による乳房再建術が可能となり、治療選択肢も拡大し患者さんごとの最適な治療を提供できるよう心がけています。当院の乳腺領域の診療内容について紹介いたしますので、参考にしていただけると幸いです。

 

乳がんとは

乳がんは乳腺の組織にできるがんで、多くは乳管から発生します。乳がんは脇のリンパ節(腋窩リンパ節)や乳房以外の臓器(骨、肺、肝臓、脳など)にも転移することがあります。
主な症状は乳房のしこりや変形、乳頭からの血性の分泌などがありますが、無症状なことも多く、検診を受けて早期発見につなげることはとても重要です。
2019年に日本全国で乳がんと診断された人は約97,000人と、女性の部位別がん罹患数は第1位です。一方で、部位別がん死亡数は第5位、5年相対生存率は92.3%とほかの部位のがんに比べると予後が良いのも、乳がんの特徴の一つです。

 

早期発見早期治療を行えば予後の良い乳がんですが、残念ながら山口県は乳がん検診受診率が全国平均と比べると非常に悪く、75歳未満の年齢調整死亡率も年により変動はあるものの、高く推移しているのが現状です。

参考文献:がん情報サービス

 

当院の乳腺診療について

概要

当院では、乳がん検診や乳腺の疾患(良性腫瘍から乳がんまで幅広く対応)に対して検査や治療を行っています。

 

特色

令和5年から、岩国出身の乳腺専門医の資格をもった常勤医2名で診療にあたっています。常勤の形成外科医師と連携をとり乳房再建も行っています。

 

遺伝性乳がん

乳がんのうち、遺伝によっておこる乳がんは10%程度と言われています。家族歴を有する方や若年発症の方などは遺伝の可能性を考慮し、診療を進めていきます。
当院では、遺伝専門医による遺伝カウンセリングを行っており、検査(一部保険適応)も可能です。また、遺伝性乳がんと診断された場合、産婦人科や消化器内科医師とも連携をとり、今後起こりやすいがんの検診(サーベイランス)も行っています。

 

チーム医療

脱毛などの薬物療法に伴う副作用のケアやリンパ浮腫の加療など、薬剤師、がん専門看護師や認定看護師、心理療法士、理学療法士とも情報共有を行いながら、ガイドラインに準じた標準的で質の高い医療の提供を心掛けるとともに、一人一人の患者さんのニーズに対してきめ細やかな対応ができるよう体制を整えています。

 

主な診療内容

当院で可能な検査

画像検査や病理検査を組み合わせて診断、ステージングを行っています。当院では、以下の検査が可能です。
マンモグラフィ検査、乳腺超音波検査、乳房MRI検査、CT検査、骨シンチグラフィ検査、PET-CT検査、病理検査(穿刺吸引細胞診、経皮的針生検、ステレオガイド下マンモトーム生検、超音波ガイド下生検)

 

手術

腫瘍摘出術:主に良性腫瘍に対して行われる手術です。腫瘍の部分だけを手術で摘出します。
以下は乳がんに対しての術式です。乳がんに対しては乳房の手術と腋窩リンパ節の手術を組み合わせて手術を行います。

乳房全切除術:大胸筋・小胸筋を残して、乳房を切除する方法です。

乳房部分切除術:正常な乳腺を部分的に切除し、がんを取り除く方法です。術後に放射線療法を行うことで乳房全切除術と同等の生存率を得ることができます(放射線療法ができない場合や遺伝性乳がんの方はお勧めできない場合があります)。
部分切除術は、主に腫瘍の大きさが3㎝以下の場合に適応となります。変形をきたす可能性があること、温存した乳房にがん細胞が残っている場合は再手術が必要になることがあること、温存した乳房からがんが再発する可能性があることなどのリスクについても術前にしっかりと理解し、担当医と術式を決めていきましょう。

参考文献:患者さんのための乳癌診療ガイドライン

センチネルリンパ節生検:術前の検査で、腋窩リンパ節への転移がない場合に選択される術式です。
がんが最初に転移しやすいリンパ節をセンチネルリンパ節と呼びます。センチネルリンパ節をみつけて摘出し、手術中に転移があるかどうかを顕微鏡で確認する方法です。転移がなければ、他のリンパ節へ転移している可能性が低いためリンパ節郭清は行わず、転移があった場合は大きさや個数から郭清を追加する可能性があります。

腋窩リンパ節郭清:以前は腋窩リンパ節に対する標準術式でしたが、リンパ浮腫などの合併症のリスクがあり、患者さんのQOLの低下を引き起こしていました。
現在は、術前の検査で、腋窩リンパ節への転移があった場合に行います。脂肪の中に埋まりこんでいる腋窩リンパ節を決められた範囲で、一塊で切除する術式です。
郭清を行った場合は入院中にリンパ浮腫の予防のためのリハビリを理学療法士から伝授いたします。

乳房再建術:手術で失われた乳房を再建する方法です。
当院では、自分の体の一部(腹部の組織や背中の筋肉など)を用いた自家組織による再建を2007年から形成外科医師が行っています。また、2024年1月からは人工乳房(インプラント)による乳房再建術の実施施設認定も取得し、人工乳房での再建も可能となりました。乳がん手術と同時に行う一次再建、別の時期に行う二次再建があります。
希望する場合は担当医に相談していただき、形成外科医師へ紹介となります。メリットデメリットを理解した上で術式を選択します。

 

薬物療法

乳がんは、しこりとして発見されたときにはすでに全身にがん細胞が存在(微小転移)していると考えられています。手術では取り切れない微小転移を根絶・制御し、治癒およびより長い生存期間を目指すために薬物療法を行います。
また、がんが乳房を離れ全身の臓器に転移をきたした場合は、根治は難しくなります。この場合は、がんの進行を抑えたり、症状を和らげることでQOLを保ちながら長期の生存を目指すために薬物治療を行います。

乳がんの薬物療法の進歩は目覚ましく、新規薬剤がどんどん登場し治療選択肢が広がり、患者さんのサブタイプや治療効果に応じた個別化治療が進んでいます。
当院では、ガイドラインに準じた治療の提供をモットーに全国のハイボリューム病院と同様の治療(化学療法、分子標的療法、がん免疫療法、ホルモン療法)を行えるよう体制を整えています。

放射線治療

乳房部分切除後や乳房全切除後の術後放射線照射だけでなく、局所やリンパ節再発に対する照射、骨転移に対する症状緩和を目的とした照射など、放射線治療医と連携を取りながら治療を行っています。
脳転移に対する照射など一部の治療は他院に紹介させていただく場合があります。

 

緩和ケア

現在、「緩和ケア≠終末期」という考え方が主流になってきています。身体的・心理的な苦痛を取り除きQOLを保つことが目的であり、ステージや状態に関係なく乳がんと診断された時点から受けることができる医療です。
当院には緩和ケアに特化した医師や看護師も常勤し、乳がん治療と並行し、痛みや様々な症状に対して症状緩和を行っています。療養の場所も緩和ケア病棟、在宅医療など様々な選択肢があり、多職種でサポートしています。

 

治療実績

手術件数

 

治療成績

 

最後に

早期発見、早期治療が大切です。
何か気になる症状があれば、初診の患者さんもできる限り早めに予約をお取りできるように調整いたしますので、かかりつけの先生に相談していただくか、直接当院外来にご連絡してください。 

 
緊急手術

緊急手術

当院は山口県東部地域における中核病院であり、第三次救命救急センターとして広島県や島根県の西部地域まで含めた広域から受け入れをしています。
緊急手術は当科では力を入れている分野のひとつであり、麻酔科とも協力し出来るだけ迅速に対応しています。緊急手術症例といってもさまざまな症例があり、少し待てる症例から一刻も早くお腹を開けなければならない外傷や絞扼性腸閉塞、腹膜炎の症例まで幅広い疾患があります。
手術への習熟はもちろんのこと、術後の集中治療管理も他科と連携しながら行っており、一人でも多く救命できるよう日々診療に当たっています。

昨年は緊急手術件数が過去数年間で一番多く、胆嚢炎や上部消化管穿孔が増加しました。

腹腔鏡手術でできる手術は基本的に腹腔鏡で行っています。内視鏡技術認定取得医、腹部救急認定医がおり、安全かつ質の高い手術を行っています。
上部消化管穿孔でも穿孔部が小さければ腹腔鏡で修復し、身体への負担を最小限にしています。また下部消化管穿孔は状態が悪いと亡くなる患者さんも多い疾患であり、Shock状態で搬送された方もおられますが手術と集中治療管理で全例救命できました。

まれな症例では義歯の誤飲による食道異物で搬送された方がおられますが、胃カメラで取ることが出来ず緊急手術にて食道を切開、無事除去し退院されました。

 

 

食道、胃、大腸、肝胆膵と消化器疾患全般の救急疾患に対応しています。

専門外来

●ストーマ外来
●家族性腫瘍相談外来

 

専門研修プログラム

「岡山大学広域外科専門研修プログラム」をご覧ください。

 

岩国医療センターだより 『外科・消化器外科・乳腺外科』

過去に広報誌「岩国医療センターだより」にて掲載しました「外科だより」等、外科・消化器外科・乳腺外科関連の記事を閲覧できます。

●岩国医療センターだより「外科・消化器外科・乳腺外科」

 

外来診療案内 外科・消化器外科・乳腺外科

 
  備考
午前

青木 秀樹
担当医不定
-     

田中屋 宏爾勝田 浩 
荒田 尚
担当医不定
-     
田中屋 宏爾
荒田 尚
谷口 文崇
渡邉 めぐみ
毛利 謙吾
野坂 未公音     

担当医不定 -     
荒田 尚 
小川 俊博     
三宅 英輝
佐藤 真歩   
・家族性腫瘍
  相談外来(要予約)
・乳腺外来(要予約)
・ストーマ外来
 水・木曜午前          
午後        
 

 

外科・消化器外科・乳腺外科 担当医師の紹介

 

田中屋 宏爾(たなかや こうじ)/院長

◇専門領域/消化器外科、家族性腫瘍
◇卒年/岡山大学 昭和63年卒業、
 大学院医学研究科 平成5年修了
 

▼資格等

  • 日本外科学会 認定医・外科専門医・外科指導医
  • 日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医・消化器外科専門医・消化器外科指導医
  • 臨床外科学会 評議員
  • 日本遺伝カウンセリング学会 臨床遺伝専門医 
  • 日本遺伝性腫瘍学会 遺伝性腫瘍専門医・遺伝性腫瘍指導医・理事
  • 大腸癌研究会家族性大腸癌委員会委員
  • 日本家族性大腸腺腫症研究会世話人
  • がん治療認定医機構 暫定教育医・がん治療認定医
  • 日本癌治療学会 臨床試験登録医
  • 臨床研修指導医
  • 日本DMAT隊員
  • 岡山大学大学院医歯学総合研究科 消化器・腫瘍外科部門 臨床教授

▼所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本胃癌学会
  • 大腸癌研究会
  • 日本大腸肛門病学会
  • 日本癌学会
  • 日本臨床腫瘍学会
  • 日本癌治療学会
  • 日本人類遺伝学会
  • 日本遺伝カウンセリング学会
  • 日本遺伝性腫瘍学会
  • 家族性大腸腺腫症研究会
  • The International Society for Gastrointestinal Hereditary Tumors (InSiGHT)
  • 日本緩和医療学会
  • 日本認知症ケア学会
 

青木 秀樹(あおき ひでき)/診療部長、手術部長

◇専門領域/肝胆膵外科、消化器外科
◇卒年/防衛医科大学校 昭和60年卒
 

▼資格等

  • 日本外科学会 外科指導医・外科専門医
  • 日本消化器外科学会 消化器外科指導医・消化器外科専門医
  • ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター
  • 日本肝胆膵外科学会 肝胆膵外科高度技能指導医
  • 日本がん治療認定医機構 暫定教育医
  • Editorial board member of World Journal of Gastrointestinal Surgery
  • TNT研修修了
  • 医学博士
  • 岡山大学医学部 臨床教授

▼所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本肝胆膵外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本胆道学会
  • 日本胃癌学会
  • 日本外科感染症学会
  • 日本内視鏡外科学会
 

勝田 浩(かつだ こう) /診療部長

◇専門領域/消化器外科
◇卒年/岡山大学医学部 平成5年卒

▼資格等

  • 日本外科学会 認定医・外科専門医
  • 日本食道学会 食道科認定医

▼所属学会

  • 日本消化器外科学会
  • 日本外科学会
  • 日本呼吸器外科学会
 

荒田 尚(あらた たかし)/外科医長

◇専門領域/一般外科、乳腺外科、IVR
◇卒年/長崎大学医学部 平成11年卒
 

▼資格等

  • 日本外科学会 外科認定医・外科専門医
  • 日本乳癌学会 乳腺専門医
  • マンモグラフィー検診精度管理中央委員会 読影医

▼所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本肝臓学会
  • 日本癌治療学会
  • 日本乳癌学会
 

谷口 文崇(たにぐち ふみたか)/外科医長

◇専門領域/消化器外科
◇卒年/岡山大学 医学部 平成18年卒
 

▼資格等

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本消化器外科学会 消化器外科専門医
  • 日本内視鏡外科学会 技術認定取得医(大腸)
  • 日本内視鏡外科学会 ロボット支援手術認定プロクター (直腸)
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医
  • 手術支援ロボット「ダヴィンチ」術者認定資格
  • 医学博士
  • 日本ロボット外科学会専門医 (Robo Doc certificate 国内B級)
  • 岡山大学医学部医学科 臨床講師

▼所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本遺伝性腫瘍学会
  • 日本ロボット外科学会
 

渡邉 めぐみ(わたなべ めぐみ)/外科医長

◇専門領域/消化器外科
◇卒年/群馬大学医学部 平成18年卒

▼資格等

  • 日本外科学会 外科指導医・外科専門医
  • 日本消化器外科学会 消化器外科指導医・消化器外科専門医・消化器がん外科治療認定医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 日本内視鏡外科学会 技術認定取得医(胃)・評議員
  • 手術支援ロボット「ダヴィンチ」術者認定資格(Xi/Si)
  • 日本ロボット外科学会専門医(Robo-Doc certificate 国内B級)
  • 医学博士
  • 岡山大学医学部医学科 臨床講師

▼所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本胃癌学会
  • 日本食道学会
  • 日本大腸肛門病学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本ロボット外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本腹部救急医学会
  • 日本癌治療学会
  • 日本ヘルニア学会
  • LECS研究会
  • 関東腹腔鏡下胃切除研究会
  

小川 俊博(おがわ としひろ)/外科医師

◇専門領域/消化器
◇卒年/岡山大学医学部 平成21年卒
 

▼資格等

  • 日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器がん外科治療認定医
  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本内視鏡外科学会 技術認定取得医(胃)
  • 日本消化器外科学会 指導医
  • 医学博士
  • NST研修修了

▼所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本癌学会
  • 日本食道学会
  • 日本胃癌学会
  • 日本腹部救急医学会
  

三宅 英輝(みやけ えいき)/外科医師

◇専門領域/消化器外科
◇卒年/山口大学医学部 平成29年卒
 

▼資格等

  • 日本外科学会 外科専門医

▼所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本臨床外科学会
  

佐藤 真歩(さとう まほ)/外科医師

◇専門領域/外科
◇卒年/高知大学医学部 平成31年卒

▼所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本内視鏡外科学会
   

毛利 謙吾(もうり けんご)/外科レジデント

◇専門領域/消化器外科
◇卒年/岡山大学医学部 令和3年卒
 

▼所属学会

  • 日本外科学会
   

野坂 未公音(のさか みこと)/外科レジデント

◇卒年/島根大学医学部 令和4年度卒
 

▼所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本乳癌学会