脳神経外科このページを印刷する - 脳神経外科

TEL / 0827-34-1000(内線3011)

概要

当科は脳神経外科医師10名(日本脳神経外科学会専門医6名、レジデント1名、後期研修医3名)の体制で日々の診療にあたっています。
山口県東部のみならず広島県西部から島根県南部の広域において24時間365日脳神経外科の救急患者さんに対応できる唯一の施設です。
年間入院患者数は約800人、年間手術件数は約400件あり中国四国地方において有数な施設の一つとなっています。
常時1名以上が緊急の呼び出しに対応出来る様に待機し、治療方針の決定から実際の治療までを円滑に行える体制を整えています。脳卒中や頭部外傷さらには元々頭以外の重い病気を持った患者さんなど緊急手術や厳重な経過観察が必要な患者さんは集中治療室もしくは救命救急センターへ入院していただくことで、病状の変化に対して迅速な対応を可能とし治療成績の向上へとつなげています。
また、予定入院や病状の安定した患者さんの場合には脳神経外科専門病棟へ入院していただき、専門的な知識と技術を持った看護スタッフが個々の患者さんに応じた看護を提供しています。

実際の診療体制としては主治医が一貫して外来診察、入院治療、手術、術後のフォローを責任を持って行うことで患者さんとの信頼関係を築き、きめ細かな医療が提供出来る様に努めています。
また当科医師10名による週4回のカンファレンスにおいて個々の患者さんの病状を十分検討したうえで治療方針や手術方法を決定しています。
専門医6名は脳神経外科全般の診療に加えて、それぞれが得意とする専門分野を持っており、各分野で安心安全な医療が提供できるように日々研鑽を積んでおります。
このようなソフト面での医療体制の充実に加えて、24時間実施可能なCT、MRI、脳血管撮影装置などの診断機器、ナビゲーション、ドップラー血流計、神経刺激装置、誘発電位モニタリングなどの手術支援機器、最新の手術用顕微鏡をはじめとする治療機器を完備し、ハード面での医療体制も充実しています。
 
当科は2019年9月に日本脳卒中学会から「一次脳卒中センター」(2023年3月時点で全国で約980施設、山口県では14施設)に認定されました。
一次脳卒中センターとは、地域の医療機関や救急隊からの要請に対し脳卒中の患者さんを24時間365日で受け入れ、すみやかに診療を開始できる施設を示します。さらに2020年10月に、今までの実施体制調査や診療実績をもとに日本脳卒中学会から「地域において中心となる一次脳卒中センター(一次脳卒中センターコア施設)」(2023年3月時点で全国で約230施設、山口県では3施設)として活動するよう同学会から委嘱されました。
 
国が働き方改革を推し進める中、2024年4月以降時間外労働の上限規制が医師にも適応されます。医師の長時間過重労働は、医師の健康への悪影響はもとより、業務遂行能力 の低下や医療事故の誘因となることが多くの研究で示されています。
当科では夜間休日の診療が少なくない脳神経外科医であってもより良いコンディションで診療を行うために、医師の負担軽減の取り組みを積極的に行っています。その取り組みが国の指定する基準を満たすこととなり2021年4月より高い評価(休日・時間外・深夜加算1の取得)を受けています。
 
脳や脊髄の病気や怪我で手足の麻痺や言葉の障害を起こした場合、脳神経外科的な治療で病気や怪我の再発や症状の悪化を食い止めることは出来ますが、障害された機能を回復させるためにはリハビリテーションが必要です。
当院には理学療法士、作業療法士、言語療法士が常駐し、急性期リハビリテーションを中心に行っています。また地域医療連携室の専門職員が、患者さんやご家族が円滑に退院、転院の手続きが出来るようにサポートさせていただいております。
 


 

主要診療内容

脳血管障害

脳出血、脳梗塞など、脳血管関連の疾患に対して多数の治療を行っています。また高齢化やより低侵襲といった時代のニーズにあわせ、脳血管内手術(脳動脈コイル塞栓術、血行再建術など)の適応範囲が飛躍的に広がってきています。
当院では日本脳神経血管内治療学会の指導医・専門医が3名常勤医として在籍し、2022年は121件の脳血管内手術を行っています。

クモ膜下出血、脳動脈瘤

脳動脈瘤に対する治療には、大きく分けて開頭クリッピング術と脳血管内手術(カテーテル手術)の二通りがあり、それぞれの患者さんに適した方法を検討した上で治療を行っています。
脳動脈瘤の治療は毎年40~50件前後行っており、2022年は開頭クリッピング術11件、コイル塞栓術32件でした。破裂して救急来院された方のみならず未破裂の脳動脈瘤に対しても破裂予防のための手術を行っています。

脳梗塞

脳梗塞は血管が閉塞してしまうことにより起こります。近年、血管につまった血栓を溶かす薬(rt-PA)の登場や脳血管内カテーテル治療の急速な発展(血栓回収療法)により、脳梗塞を発症して数時間以内ならば閉塞した血管を再開通させることが可能になっています。より安全に迅速な治療ができるよう院内体制を整備するとともに、症状回復のためスムーズにリハビリテーションに移行できるよう取り組んでいます。当院では脳血管内治療専門医が3名常勤医として在籍し、24時間いつでも脳梗塞に対応できるよう体制を整えております。

血管狭窄病変

頚部や頭蓋内の血管狭窄に対して脳梗塞予防のための手術を行っています。頚部の動脈狭窄に対しては頚動脈を切開して動脈硬化部分を直接切除する頚動脈内膜剥離術や血管内カテーテルで狭窄部を広げる頚動脈ステント留置術を行います。頭蓋内の血管狭窄病変にはバルーン付きのカテーテルを用いて血管拡張を行ったり、途中で血管が閉塞している場合には途絶した血管をバイパス手術でつなげる手術を行うこともあります。


その他脳神経外科で扱う脳血管疾患は脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻など多岐にわたります。検診や他疾患の検査を受けた際に上記のような脳血管疾患が偶然見つかることもあります。
手術をしたほうが良いのか、またはそのまま様子を見たほうがいいのかなど治療方針の相談を脳神経外科外来で受け付けております。

脳腫瘍

髄膜腫、下垂体腺腫などの良性腫瘍から、膠芽腫などの悪性腫瘍に対して手術および放射線・化学療法を行っております。
当科には神経内視鏡技術認定医が2名在籍しており、神経内視鏡、ナビゲーションシステム、術中神経モニタリングなどの周辺機器を駆使して、より安全で低侵襲な手術を目指しております
また膠芽腫に対する最新治療である腫瘍治療電場療法(オプチューン®)についても当科で対応可能です。

脊椎脊髄疾患

日本脊髄外科学会認定医2名(内1名は脊椎脊髄外科専門医)を中心に、脊椎脊髄疾患にも積極的に取り組んでおり、2022年は48件の脊椎脊髄手術を行っています。超高齢社会を迎えた現在、高齢者の方の脊椎脊髄手術が増加してきております。腰痛、手足のしびれ・痛み、歩行困難で悩んでおられるなら、高齢だからと諦めずに受診してみてください。
また、3次救急病院である当院の使命として脊椎脊髄損傷患者さんの受け入れも積極的に行っています。呼吸循環など全身管理を必要とする重症の脊椎脊髄損傷患者さんは他科の協力のもと集中治療室で治療を行っています。
2022年4月に整形外科と協力して脊椎脊髄センターを開設いたしました。脊椎脊髄センターのページもご覧下さい。

頭部外傷

当院の医療圏は、高齢の方が多く、車社会であり、転倒や交通事故による頭部外傷が多く搬送されます。
生命に危険が及ぶ、外傷性頭蓋内出血に対する手術を、年間10~20件程度行っています (2022年は6件の緊急開頭術)。
また、軽微な頭部打撲後に、ゆっくりと脳の表面に血液が貯留してくる、慢性硬膜下血腫に対する手術(2022年は75件の穿頭洗浄術)も多数行っています。

機能的疾患

三叉神経痛や顔面痙攣は、頭蓋内で神経が血管に圧迫されることで起こります。
当院では、薬物療法が効かない症例や副作用が強い症例などに対して、画像診断を加え、慎重に治療適応を選び、手術治療(微小血管減圧術)を行っています。2022年は2件の減圧術を行っています。
また、顔面痙攣、眼瞼痙攣に対しては局所注射(ボツリヌス)による治療も行っています。

 

手術実績


 

後期研修紹介

後期研修医をこころざす方へ(PDF)

研修医のバイパストレーニング


(再生中にマウスをのせると一時停止、ボリューム等のボタンが表示されます。)

 

岩国医療センターだより『脳神経外科』

過去に広報誌「岩国医療センターだより」にて掲載しました脳神経外科関連の記事を閲覧できます。

●岩国医療センターだより「脳神経外科」

 

外来診療案内 脳神経外科

 
  備考
午前 荻原 浩太郎大塚 真司     
伊丹 尚多
柿本 昂佑樹西浦 司  
新患外来   
(完全予約制)     
日下 昇  大塚 真司
西 和彦
廣瀬 安章                
新患外来
(完全予約制)     
荻原 浩太郎  日下 昇
伊丹 尚多
田村 遼
西浦 司     
    

 

脳神経外科 担当医師の紹介

 

荻原 浩太郎(おぎはら こうたろう)/診療部長

◇専門領域/脊椎脊髄疾患
◇卒年/鳥取大学医学部 平成元年卒
 

▼資格等

  • 日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医
  • 日本脊髄外科学会 脊髄外科認定医
  • 日本脊椎脊髄病学会 日本脊椎脊髄外科専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 日本神経内視鏡学会 神経内視鏡技術認定医
  • 日本脳卒中の外科学会 技術指導医
  • 日本脳卒中学会認定 脳卒中専門医
  • 臨床研修指導医
  • 医学博士

▼所属学会

  • 日本脳神経外科学会
  • 日本脳神経外科コングレス
  • 日本脊髄外科学会
  • 日本脊椎脊髄病学会
  • 日本脊椎・脊髄神経手術手技学会
  • 日本脊髄障害医学会
  • 西日本脊椎研究会
  • 日本神経内視鏡学会
  • 日本脳卒中の外科学会
  • 日本脳卒中学会
  • スパズム・シンポジウム
  • 日本整容脳神経外科研究会
  • 脳神経外科手術と機器学会
  • 日本静脈経腸栄養学会

▼略歴・その他

海外留学:米国ミシシッピー大学脳神経外科(脳血管攣縮の研究)

 

日下 昇(くさか のぼる)/脳神経外科医長

◇専門領域/脳血管障害、脳血管内手術、頭蓋底外科
◇卒年/岡山大学医学部 平成7年卒

▼資格等

  • 医学博士
  • 日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医
  • 日本脳神経血管内治療学会 脳神経血管内治療指導医
  • 臨床研修指導医
  • 身体障害認定医(肢体不自由)

▼所属学会

  • 日本脳神経外科学会
  • 日本脳神経外科コングレス
  • 日本脳神経血管内治療学会
  • 日本脳卒中学会

▼略歴・その他

受賞:日本脳神経外科学会奨励賞(血管の部) 平成18年

 

大塚 真司(おおつか しんじ)/脳神経外科医師

◇専門領域/脳腫瘍、神経内視鏡
◇卒年/岡山大学医学部 平成8年卒

▼資格等

  • 医学博士
  • 日本脳神経外科学会 指導医
  • 日本脳卒中学会認定 脳卒中専門医・指導医
  • 日本神経内視鏡学会 神経内視鏡技術認定医
  • 臨床研修医指導医
  • 身体障害認定医(肢体不自由)
  • 日本脳卒中の外科学会 技術認定医

▼所属学会

  • 日本脳神経外科学会
  • 日本脳神経外科コングレス
  • 日本脳卒中学会
  • 日本脳腫瘍学会
  • 日本神経内視鏡学会
  • 日本脳卒中の外科学会

▼略歴・その他

海外留学:カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)(平成14年‐16年)

 

伊丹 尚多(いたみ ひさかず)/脳神経外科医師

◇専門領域/脳血管障害、脳血管内手術
◇卒年/岡山大学医学部 平成16年卒

▼資格等

  • 医学博士
  • 日本脳神経外科学会 脳神経外科指導医
  • 日本脳神経血管内治療学会 脳神経血管内治療指導医
  • 日本脳卒中学会認定 脳卒中指導医
  • 身体障害認定医(肢体不自由)
  • 臨床研修指導医

▼所属学会

  • 日本脳神経外科学会
  • 日本脳神経外科コングレス
  • 日本脳血管内治療学会
  • 日本脳卒中学会
  • 日本脳卒中の外科学会
 

西 和彦(にし かずひこ)/脳神経外科医師

◇専門領域/脳神経外科一般
◇卒年/岡山大学医学部 平成26年卒
 

▼所属学会

  • 日本脳神経外科学会
  • 日本脳神経血管内治療学会
  • 日本脳卒中学会
  

廣瀬 安章(ひろせ やすあき)/脳神経外科医師

◇卒年/岡山大学医学部 令和2年卒
 

▼所属学会

  • 日本脳神経外科学会
 

柿本 昂佑樹(かきもと たかゆき)/脳神経外科レジデント

◇専門領域/脳神経外科一般
◇卒年/岡山大学医学部 令和3年卒
 

▼所属学会

  • 日本脳神経外科学会
 

田村 遼(たむら りょう )/脳神経外科レジデント

◇専門領域/脳神経外科一般
◇卒年/岡山大学医学部令和4年卒
 

▼所属学会

  • 日本脳神経外科学会
  

西浦 司(にしうら つかさ)/医師(非常勤)

◇専門領域/脊椎脊髄疾患、頭蓋底の手術、脳動脈瘤クリッピング
◇卒年/岡山大学医学部 昭和54年卒
 

▼資格等

  • 日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医
  • 日本脊髄外科学会 認定医
  • 日本脳卒中学会 専門医
  • 身体障害認定医

▼所属学会

  • 日本脳神経外科学会
  • 日本脳神経外科コングレス
  • 日本脊髄外科学会
  • 日本小児脳神経外科学会
  • 日本脳血管内治療学会
  • 日本脊髄障害医学会
  • 日本脳卒中の外科学会
  • 日本脳卒中学会