膵臓(すいぞう)がんこのページを印刷する - 膵臓(すいぞう)がん

我が国における膵臓がんによる死亡者数は年々増加傾向にあり、年間2万人を超えています。他の消化器系がんとくらべると予後不良で、罹患率(病気の発生率)と死亡率がほぼ同じです。
1.2~1.3:1と男性にやや多く、危険因子は喫煙、肥満、糖尿病、慢性膵炎、家族歴などがあります。

症状としては腹痛、背部痛、黄疸、体重減少などがありますが、症状がある場合はすでに進行している場合が多いです。また急に糖尿病が悪くなった場合は、膵臓がんの合併を疑い検査を行うべきとされています。

膵臓がんが疑われた場合、血液検査で膵酵素や腫瘍マーカーを調べたりしますが、早期発見には有用でありません。腹部超音波検査は最初の検査として勧められますが、仮に膵臓がんがあったとしても検診で発見される確率は高いとは言えません。しかし、前述した危険因子を多く持つ方は、定期的な腹部超音波検査が勧められます。

膵臓がんが疑われた場合、ERCPを行い膵管、胆管の精査を行います。
また、当院では超音波内視鏡を使用して腫瘍の詳細な観察や組織をとること(EUS-FNA)ができ、早期発見に貢献しています。

膵臓がんと診断された場合、閉塞性黄疸(胆管の閉塞による胆汁の流れが悪くなっている状態)があれば、黄疸を改善させる内視鏡的な治療のあと、遠隔転移や主要な血管への浸潤がない場合には外科的手術を行います。
しかし、遠隔転移や主要な血管への浸潤があり、外科的手術が困難な場合は化学療法を行います。
遠隔転移がない場合などでは、放射線療法を併用する場合もあります。
最近は抗がん剤の効果がみられるようになってきており、以前よりも予後は改善しています。

全身状態が悪い、超高齢であるなどで、化学療法により逆に予後を短くする可能性がある場合は、はじめから症状を抑える治療を選択する場合もあります。