EUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺術)このページを印刷する - EUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺術)

EUS-FNAは、超音波内視鏡を用いて、診断・治療を行う手技のことです

通常の内視鏡では、消化管粘膜(表面)の観察および粘膜の細胞採取を行い診断しますが、粘膜にできる通常のがんなどの病気はこれで十分診断できますが、消化管粘膜の奥にある病気は、通常の内視鏡では診断が困難です。
しかし、EUS-FNAを用いることにより、消化管粘膜の奥にある病変から細胞を採取し、これまで診断が困難であった病気を正確に診断(良性か悪性かなど)できます。
実際には、膵がんなどの膵腫瘍、胃、十二指腸などの粘膜下腫瘍の診断がよい適応です。

具体的には、消化管粘膜の奥にある病変の細胞を採取するときは、内視鏡の先端についた超音波で診断したい病変を見ながら、内視鏡の先端から細い針を出し、病変に針を差し込み吸引により細胞を採取します。
ごく少量の出血はありますが、問題となる合併症は少ないので、体に負担なく安全に施行できます。

当院では、2010年12月より、最新のEUS-FNA用の内視鏡を導入しました。
また、EUS-FNAを用いた治療は、消化管粘膜の奥にある病変に針を刺すことができることを利用したものです。

実際の治療の対象となる病気は、現在のところ、膵炎などの後におきる仮性膵嚢胞(膵液が溜まった袋)や、通常の内視鏡治療(ERCP)で治療困難な閉塞性黄疸(胆汁の流れが悪くなり、胆汁が溜まり黄疸がでる病気)などです。
EUS-FNAを用いて、仮性膵嚢胞や胆汁のたまった部位とを消化管を交通させ、異常に溜まった膵液や流れの悪くなった胆汁を消化管の中に出してやります。
具体的には、仮性膵嚢胞の内部や閉塞性黄疸で胆汁が溜まった病変部に、胃や十二指腸から、EUS-FNAをもちいて針を刺し、針で開いた小さな穴を拡げてから液体を出すためのチューブを留置し、ドレナージします。

この方法により、以前は治療が難しかった仮性膵嚢胞や、他の方法ではドレナージが困難な閉塞性黄疸の治療が、内視鏡のみで可能となりました。