病理診断科
概要
病理診断は治療方針の決定に重要で、治療法の変遷とともに求められる内容も変化しています。
病理検体を使って行う検査の中でも治療薬につながる検査が増加しています。当院は平成30年に癌ゲノム医療連携病院に指定されました。病理検体から遺伝子情報を抽出し治療に活かす癌ゲノム医療が全国で始まっており、当科においても体制整備を整え、岡山大学病院とのウェブミーティング(エキスパートパネル)に定期的に参加しています。がん診療に貢献しスムーズに正確な結果を得られるように努力しています。
また、臨床検査科では国際規格「ISO 15189」認定を取得し高いレベルの精度管理を行っています。病理診断科においても手順マニュアルの整備や改善を行い、精度の高い診断を行っています。
施設認定
日本病理学会登録施設
病理診断科で行っていること
病理診断科医は、内科や外科などの医師と同じく、大学の医学部を卒業して医師免許を取得した医師です。内科や外科などの医師のように直接患者さんを診ることがないので、「病理」についてあまり知られていません。
患者さんが病院に来院されると、適切な治療のために、診察や種々の検査を行い適切な診断が必要となります。「病理診断」は最終診断としての役割を担っています。
患者さんより採取された病変の組織や細胞から、顕微鏡で観察できるように染色を施されたプレパラート標本が作製されます。この標本を顕微鏡で観察することにより診断するのが病理診断です。病理診断は医師免許が必要な「医行為」の一つです。そして、病理診断科医はこの病理診断を専門としています。
病理診断科医は直接患者さんを診ることがないと言いましたが、実際には病変を直接診ることで診療に深く関わっています。
病理診断は主治医に報告され、診察や他の検査の結果とともに治療に役立てられます。
病理診断には、(1)細胞診、(2)組織診(生検や手術材料)、(3)病理解剖があります。
(1)細胞診
尿や痰などの中にがん細胞がいるかどうかを顕微鏡で診て診断する方法です。
子宮がん検診では子宮頸部から細胞を擦りとり、のどや乳房などにしこりがあると細い針を刺して吸引し、とれた細胞の中にがん細胞がいるかどうか調べます。
細胞検査士という資格を有する検査技師と病理診断科医が共同で診断を行っています。
(2)組織診
内視鏡検査などで採取された病変の一部の小さな検体(生検)や、手術で切除された検体から標本を作製します。
病理診断科医は標本を顕微鏡で診て、良性か悪性か、悪性であれば手術で病変がとりきれたか、どのぐらい進行しているのか、病変のタチの悪さはどうかなどを診断しています。
また、手術中に短時間で標本作製し病理診断を行う術中迅速診断は、手術方針の決定に役立っています。
(3)病理解剖
不幸にして病院でお亡くなりになった患者さんの死因、病態解析、治療効果などを検証し、今後の医療に活かすことを目的に行います。
病理解剖で得られた診断結果は、患者さんの治療を行う臨床医と病理診断を行う病理診断科医とのカンファレンス(CPC)にて検討され、今後の診療に役立てられます。
病理統計
年 | 組織診 | 迅速 | 細胞診 | 解剖 | 遺伝子検査など提出 |
---|---|---|---|---|---|
2019 | 5501 | 559 | 3692 | 11 | |
2020 | 5195 | 602 | 3642 | 6 | |
2021 | 5010 | 605 | 3823 | 7 | 215 |
2022 | 5389 | 597 | 3763 | 7 | 271 |
岩国医療センターだより 『病理診断科』
過去に広報誌「岩国医療センターだより」にて掲載しました病理診断科関連の記事を閲覧できます。