大腸ポリープこのページを印刷する - 大腸ポリープ

大腸ポリープとは、大腸の粘膜面がいぼ状に盛り上がった病変の総称です。
ポリープの形も様々で、有茎性(キノコのように茎があるもの)、無茎性(茎の無いもの)、亜有茎性(両者の中間)など、またはほとんど扁平な形のポリープもあります。

大腸ポリープは、大きく「腫瘍」と「それ以外のポリープ」に分けられます。
腫瘍以外のポリープには、炎症性のポリープや過形成によるポリープなどがあります。
炎症性のポリープは潰瘍性大腸炎、クローン病などの腸の炎症性の病気や感染症など、腸に強い炎症を引き起こす病気にかかった後にできます。
過形成性ポリープは、加齢とともにほとんどの人にみられるものです。
この2つのタイプのポリープは、基本的に正常細胞が集まってイボ状になったもので、がんとは無関係です。放置しても大腸がんになることはほとんどありません。

治療の対象となるのは、腫瘍に分類されるタイプのポリープです。
これにも良性の腫瘍と悪性の腫瘍があります。悪性の腫瘍がすなわち「がん」です。ただし、がんといってもポリープ状の形をしているのは、多くの場合早期のがんです。
一方、良性の腫瘍は、「腺腫」と呼ばれています。大腸ポリープの約80%は腺腫で、一般にポリープという場合は、この腺腫を指す場合が多いようです。
この腺腫性ポリープは、そのまま放置しているとがん化する可能性があるといわれており、腺腫が大きくなるにつれてがん化する割合が大きくなる傾向にあります。10mm以上から19mmものは約25%が、20mm上のものでは約35%ががん化しているといわれています。

最近では5mm未満のポリープは、積極的な治療は行わず経過観察とする考えが主流です(家族性にポリープが多発したり、がんができやすい一部の人は除きます)。わずかながら5mm未満の微小がんもみられますが(0.5%)、表面の発赤、びらん、陥凹の有無で微小がんと診断することが可能です。微小がんを除けば、6mm以上の腺腫が治療の対象になります。

内視鏡による大腸ポリープの切除方法にはいくつかありますが、当院では内視鏡下粘膜切除術(EMR)を主に行っています。
この方法は、内視鏡の先端から注射針を出して、ポリープの下の粘膜下層という部分に生理食塩水を注射します。生理食塩水で粘膜下層が固有筋層からはがれ、ポリープの部分がコブ状になります。このコブ状になったポリープにワイヤーをかけて高周波の電流をつかって切り取ります。痛みは全くありません。
この方法では、平坦なポリープや少し大きめのポリープも切除することができる点が特徴です。
昨年、当院で行ったポリープ切除術は284件です。

また、この方法で切除できないような大きなポリープに対しては、2012年4月より保険適応になった内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)による切除にも取り組んでいます。
ESDは病変周囲および粘膜下層にヒアルロン酸ナトリウム溶液を注射して病変を浮かせ、専用のナイフで病変周囲の切開、病変の剥離を行う方法です(魚をおろしていくようなイメージです)。