大腸がん(結腸がん+直腸がん)
大腸がんは2008年の罹患数(全国推計)では112,772人であり、胃がん(122,910人)についで2番目に多く、2011年の死亡者数は46,014人であり、肺がん(70,293人)、胃がん(49,830人)についで3番目に多いがん腫です。
日本では食生活の欧米化に伴い今後も大腸がんが増えることが予想されています。
国立がんセンターが予想している2020年の罹患数では約15万4千人と、肺がん(約12万4千人)、胃がん(約11万人)を引き離して最も多いがん腫になるであろうとされています。
消化器内科では、大腸がんの診断と内視鏡的治療、化学療法を行っています。
大腸がんの診断
大腸がんは通常、便秘や肛門からの出血といった自覚症状を契機として発見されます。また、職場や地域の検診がきっかけで、大腸がんが発見されることがあります。
上記の症状がある方、また検診で要精査と判定された方は、大腸内視鏡検査を受けましょう。
以前は「大腸内視鏡検査は苦しい」といわれていました。しかし最近では、内視鏡検査に使用する機械、そして検査の技術が進歩したため、苦痛もなく行えるようになってきました。
大腸内視鏡検査を行う場合、正確に観察できるようにするために大腸の中をきれいにする必要があります。そのために、約2リットルの下剤を飲みます。大腸内視鏡検査でおそらく最も苦しいのがこの大腸をきれいにする処置です。下剤を飲んで、何度かトイレへいっていただくと便が透明になってきます。この状態になると検査を行うことができます。
当院では食事を抜いて来院されれば、予約なしでその日に検査を受けることのできる体制となっています(その際は午前中の早い時間での受診をお願いします)。 特に女性は診察が恥ずかしい、といった理由から治療が遅れてしまうことがあります。
当院では、2013年より女性の内視鏡専門外来(月、金)を開設していますので、そのような心配もありません。
大腸がんの治療
現在の大腸がんの治療は、大腸癌研究会による「大腸癌治療ガイドライン」(2010年)に基づいて行われています。
内視鏡的に切除する大腸がんは、Stage0の粘膜内癌と、StageIの粘膜下層の軽度浸潤癌です。これらの癌は転移をすることがないと考えられています(治療法に関しては大腸ポリープの項をご参照下さい)。
しかし、切除後の標本で癌の浸潤が深かったり、脈管に浸潤していたりといったことが確認されれば、転移を起こす危険性がありますので、追加手術が必要となります。
一方、化学療法は、手術後の再発を抑える目的の補助化学療法と、切除不能な進行再発大腸がんを対象とした全身化学療法があります。消化器内科で行うのは、後者の全身化学療法です。
化学療法では、まだ大腸がんを治癒させることはできません。しかし、最近の化学療法の進歩により生存期間中央値は2年以上に延長しています。これは他の消化器がんと比較しても長く、化学療法の効果が望めるがん腫であるといえます。
また、がんが進行して起こる痛みや、吐き気などの消化器症状、不眠や倦怠感といった症状に対しては、緩和ケアチームと連携し、患者さんが不快と感じていることをできるだけ和らげることができるように治療を行っています。