肺がんとはこのページを印刷する - 肺がんとは

(1) 肺の構造と働き

肺は呼吸に関して中心的役割を担う臓器で、胸の中に左右2つ(左肺、右肺)存在しています。
左肺は上葉と下葉という2つの袋に、また右肺は上葉、中葉、下葉という3つの袋からなっています。肺は、主に身体の中に空気中から酸素を取り入れ、体内で老廃物として作られた二酸化炭素を排出する仕事を行っています。

 

(2) 肺がんの発生と成長

肺がんに限らず、がんの多くは特定の遺伝子の異常によって発生することがわかってきました。
ある正常な気管支や肺の細胞の持つ遺伝子に、たばこの中の有害物質などが作用し、傷をつけることによってがん細胞となり、それらの細胞が無秩序に増殖してしまうのではないかと考えられています。

また、がん細胞は一か所にとどまることなく、血管の中に入って全身に広がったり(血行性転移)、リンパ管の中に入って全身に広がったり(リンパ行性転移)、また種をまくように胸の中で広がったり(播種)します。

 

(3) 肺がんの統計

平成24年の厚生労働省人口動態統計によると、平成24年における死因の第一位は「悪性新生物」で、死亡総数の28.7%を占めています。これは年々増加する傾向にあります。
また、悪性新生物の中でも「肺がん」による死亡は、年間約71,500人で第一位となっています。平成24年には、男女とも悪性新生物で亡くなった方のうち肺がんが最も多くなっています。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai12/
(厚生労働省人口動態統計年報主要統計表)

 

(4) 肺がんの分類

肺がんには、いろいろな分類の仕方があります。

まず、その存在部位によって肺門型(中心型)と肺野型(末梢型)に分けられます。また、その構成している細胞の集まり(組織型といいます)によって小細胞がんと非小細胞がんの2つの型に大きく分けられます。
小細胞がんは全肺がんの約15~20%を占め、増殖の速度が非常に速く、リンパ節・脳・骨・肝臓・副腎などに転移しやすい悪性度の高いがんといえます。反面、非小細胞肺がんと比べて、抗がん剤や放射線治療が比較的効きやすいタイプのがんといわれています。
非小細胞がんは、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、腺扁平上皮がんなどに分けられます。

腺がんは、我が国で最も発生頻度が高い肺がんとして知られています。肺野型あるいは末梢型と呼ばれる肺の末梢に発生するのがほとんどです。

次に多いのは扁平上皮がんで、肺門型あるいは中心型と呼ばれる肺の中心部付近に発生するタイプのものが多く見られます。

 

(5) 肺がんと喫煙

日本人における喫煙と肺がんの関係を調べた統計によると、たばこを吸う人の肺がん発生率は、吸わない人に比べて男性では4.5倍、女性では4.2倍と高く、また、やめた人は吸わない人に比べて男性では2.2倍、女性では3.7倍高くなっていました。
たばこは大気汚染や職業的な曝露などに比べて、肺がんの原因として最も影響の大きな因子だといえます。
また扁平上皮がん・小細胞がんは比較的太い気管支に発生するがんで、たばことの関連が大きく、腺がん・大細胞がんは肺の奥に発生するがんで、たばことの関連が小さいといわれています。
(JPHC study,http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/254.html