乳腺外科このページを印刷する - 乳腺外科

はじめに

ホームページをご覧いただきありがとうございます。
当院外科、乳腺領域は2022年から2名の専門医(男性医師1名、女性医師1名)で診療を行っています。乳がんはどんどん増加傾向にあり、今や9人に1人が乳がんになるといわれています。
2024年1月からは、当院でも人工乳房による乳房再建術が可能となり、さらに2024年7月からラジオ波焼灼療法(Radio Frequency Ablation:RFA)も当院で受けることができるようになりました。治療選択肢も拡大し患者様ごとの最適な治療を提供できるよう心がけています。 
当院の乳腺領域の診療内容について紹介いたしますので、参考にしていただけると幸いです。

 

乳がんとは

乳がんは乳腺の組織にできるがんで、多くは乳管から発生します。乳がんは脇のリンパ節(腋窩リンパ節)や乳房以外の臓器(骨、肺、肝臓、脳など)にも転移することがあります。
主な症状は乳房のしこりや変形、乳頭からの血性の分泌などがありますが、無症状なことも多く、検診を受けて早期発見につなげることはとても重要です。
2019年に日本全国で乳がんと診断された人は約97,000人と、女性の部位別がん罹患数は第1位です。一方で、部位別がん死亡数は第5位、5年相対生存率は92.3%とほかの部位のがんに比べると予後が良いのも、乳がんの特徴の一つです。

 

早期発見早期治療を行えば予後の良い乳がんですが、残念ながら山口県は乳がん検診受診率が全国平均と比べると非常に悪く、75歳未満の年齢調整死亡率も年により変動はあるものの、高く推移しているのが現状です。

参考文献:がん情報サービス

 

当院の乳腺診療について

概要

当院では、乳がん検診や乳腺の疾患(良性腫瘍から乳がんまで幅広く対応)に対して検査や治療を行っています。

 

特色

令和5年から、岩国出身の乳腺専門医の資格をもった常勤医2名で診療にあたっています。常勤の形成外科医師と連携をとり乳房再建も行っています。

 

遺伝性乳がん

乳がんのうち、遺伝によっておこる乳がんは10%程度と言われています。家族歴を有する方や若年発症の方などは遺伝の可能性を考慮し、診療を進めていきます。
当院では、遺伝専門医による遺伝カウンセリングを行っており、検査(一部保険適応)も可能です。また、遺伝性乳がんと診断された場合、産婦人科や消化器内科医師とも連携をとり、今後起こりやすいがんの検診(サーベイランス)も行っています。

 

チーム医療

脱毛などの薬物療法に伴う副作用のケアやリンパ浮腫の加療など、薬剤師、がん専門看護師や認定看護師、心理療法士、理学療法士とも情報共有を行いながら、ガイドラインに準じた標準的で質の高い医療の提供を心掛けるとともに、一人一人の患者さんのニーズに対してきめ細やかな対応ができるよう体制を整えています。

 

主な診療内容

当院で可能な検査

画像検査や病理検査を組み合わせて診断、ステージングを行っています。当院では、以下の検査が可能です。
マンモグラフィ検査、乳腺超音波検査、乳房MRI検査、CT検査、骨シンチグラフィ検査、PET-CT検査、病理検査(穿刺吸引細胞診、経皮的針生検、ステレオガイド下マンモトーム生検、超音波ガイド下生検)

 

手術

腫瘍摘出術:主に良性腫瘍に対して行われる手術です。腫瘍の部分だけを手術で摘出します。
以下は乳がんに対しての術式です。乳がんに対しては乳房の手術と腋窩リンパ節の手術を組み合わせて手術を行います。

乳房全切除術:大胸筋・小胸筋を残して、乳房を切除する方法です。

乳房部分切除術:正常な乳腺を部分的に切除し、がんを取り除く方法です。術後に放射線療法を行うことで乳房全切除術と同等の生存率を得ることができます(放射線療法ができない場合や遺伝性乳がんの方はお勧めできない場合があります)。
部分切除術は、主に腫瘍の大きさが3㎝以下の場合に適応となります。変形をきたす可能性があること、温存した乳房にがん細胞が残っている場合は再手術が必要になることがあること、温存した乳房からがんが再発する可能性があることなどのリスクについても術前にしっかりと理解し、担当医と術式を決めていきましょう。

ラジオ波焼灼療法(RFA):従来の手術とは異なり、乳房を切除せずに病変部に専用の針をさしてがんを熱で焼灼する新しい治療法です。そのため傷が小さく、乳房の変形もきたしにくいといったメリットがあります。しかし、すべての乳がん患者さんに適応があるわけではありません。1.5cm以下の限局した特定の組織型の早期がんにのみ治療が可能であることや術後放射線治療を受けることができることなど、適格基準があります。ご自身がRFAの適応になるかどうか知りたい場合や治療を希望する際は主治医と相談をして検討しましょう。 

参考文献:患者さんのための乳癌診療ガイドライン

センチネルリンパ節生検:術前の検査で、腋窩リンパ節への転移がない場合に選択される術式です。
がんが最初に転移しやすいリンパ節をセンチネルリンパ節と呼びます。センチネルリンパ節をみつけて摘出し、手術中に転移があるかどうかを顕微鏡で確認する方法です。転移がなければ、他のリンパ節へ転移している可能性が低いためリンパ節郭清は行わず、転移があった場合は大きさや個数から郭清を追加する可能性があります。

腋窩リンパ節郭清:以前は腋窩リンパ節に対する標準術式でしたが、リンパ浮腫などの合併症のリスクがあり、患者さんのQOLの低下を引き起こしていました。
現在は、術前の検査で、腋窩リンパ節への転移があった場合に行います。脂肪の中に埋まりこんでいる腋窩リンパ節を決められた範囲で、一塊で切除する術式です。
郭清を行った場合は入院中にリンパ浮腫の予防のためのリハビリを理学療法士から伝授いたします。

乳房再建術:手術で失われた乳房を再建する方法です。
当院では、自分の体の一部(腹部の組織や背中の筋肉など)を用いた自家組織による再建を2007年から形成外科医師が行っています。また、2024年1月からは人工乳房(インプラント)による乳房再建術の実施施設認定も取得し、人工乳房での再建も可能となりました。乳がん手術と同時に行う一次再建、別の時期に行う二次再建があります。
希望する場合は担当医に相談していただき、形成外科医師へ紹介となります。メリットデメリットを理解した上で術式を選択します。

 

薬物療法

乳がんは、しこりとして発見されたときにはすでに全身にがん細胞が存在(微小転移)していると考えられています。手術では取り切れない微小転移を根絶・制御し、治癒およびより長い生存期間を目指すために薬物療法を行います。
また、がんが乳房を離れ全身の臓器に転移をきたした場合は、根治は難しくなります。この場合は、がんの進行を抑えたり、症状を和らげることでQOLを保ちながら長期の生存を目指すために薬物治療を行います。
乳がんの薬物療法の進歩は目覚ましく、新規薬剤がどんどん登場し治療選択肢が広がり、患者さんのサブタイプや治療効果に応じた個別化治療が進んでいます。
当院では、ガイドラインに準じた治療の提供をモットーに全国のハイボリューム病院と同様の治療(化学療法、分子標的療法、がん免疫療法、ホルモン療法)を行えるよう体制を整えています。

放射線治療

乳房部分切除後や乳房全切除後の術後放射線照射だけでなく、局所やリンパ節再発に対する照射、骨転移に対する症状緩和を目的とした照射など、放射線治療医と連携を取りながら治療を行っています。
脳転移に対する照射など一部の治療は他院に紹介させていただく場合があります。

 

緩和ケア

現在、「緩和ケア≠終末期」という考え方が主流になってきています。身体的・心理的な苦痛を取り除きQOLを保つことが目的であり、ステージや状態に関係なく乳がんと診断された時点から受けることができる医療です。
当院には緩和ケアに特化した医師や看護師も常勤し、乳がん治療と並行し、痛みや様々な症状に対して症状緩和を行っています。療養の場所も緩和ケア病棟、在宅医療など様々な選択肢があり、多職種でサポートしています。

 

治療実績

手術件数

 

治療成績

 

最後に

早期発見、早期治療が大切です。
何か気になる症状があれば、初診の患者さんもできる限り早めに予約をお取りできるように調整いたしますので、かかりつけの先生に相談していただくか、直接当院外来にご連絡してください。 

 

外来診療案内 乳腺外科

 
  備考
午前

   

荒田 尚
鳩野みなみ    
担当医不定   荒田 尚 
鳩野みなみ    
                   
午後 荒田 尚
鳩野みなみ
 - 荒田 尚
鳩野みなみ
 
 

乳腺外科 担当医師の紹介


荒田 尚(あらた たかし)/外科医長

◇専門領域/一般外科、乳腺外科、IVR
◇卒年/長崎大学医学部 平成11年卒
 

▼資格等

  • 日本外科学会 外科認定医・外科専門医
  • 日本乳癌学会 乳腺専門医
  • マンモグラフィー検診精度管理中央委員会 読影医

▼所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本肝臓学会
  • 日本癌治療学会
  • 日本乳癌学会
   

鳩野 みなみ(はとの みなみ)/外科医師

◇専門領域/乳腺外科
◇卒年/島根大学医学部 平成23年卒
 

▼資格等

  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本乳癌学会 乳腺専門医
  • 乳房再建用エキスパンダー/インプラント実施医師
  • 乳がん検診超音波検査実施・判定医師
  • 日本遺伝性腫瘍学会 遺伝性腫瘍専門医
  • 医学博士
  • マンモグラフィ読影認定医師

▼所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本乳癌学会
  • 日本遺伝性腫瘍学会
  • 日本乳腺甲状腺超音波医学会
  • 日本内分泌外科学会