各療法についてこのページを印刷する - 各療法について

様々な疾患が対象となりますが、心大血管や呼吸器疾患、がんなどの内部障害の患者さんが多いことが当科の特徴です。以下に各療法を紹介します。

リハビリテーションセンター(3F)

 

理学療法

理学療法とは,機能・形態障害を有する患者さんに対して運動療法や物理療法を用いて、筋力、関節可動域、協調性といった運動機能の改善を図る治療法です。
理学療法の直接的な目的は運動機能の回復にありますが、日常生活動作の改善を図り、最終的にはQOL(生活の質)の向上を目標としています。また、可能な限り痛みや苦しさを伴わず、患者さんの病態や病期に応じたリハビリテーションを提供するように努めています。

 

心大血管リハビリ

当院では、平成18年4月から心大血管リハビリに取り組んでいます。
「心大血管」は聞きなれない言葉ですが、主に心臓と大きな血管のことを指します。具体的な対象疾患は、急性心筋梗塞、狭心症、心不全、心臓手術、大動脈疾患、閉塞性動脈疾患などが挙げられます。
以前は、心臓の病気・手術というと長く安静にしていることが多かったのですが、現在は症状に応じて運動することにより、早期回復や再発予防に効果的であることが分かっています。当院でも主治医の指示の下、集中治療室でもリハビリを実施し、早期からのリハビリ介入に努めています。

リハビリの内容は急性期には病棟での全身調整運動や基本動作練習、手術前後の患者さんに対しては呼吸・排痰練習なども実施しています。状態が安定すれば、リハビリ室でストレッチや筋力強化練習、自転車エルゴメーターといった器具を使ったトレーニングも行っています。
また、心臓カテーテル検査(1泊2日、2泊3日)の患者さんに対して、在宅での運動方法についてパンフレットを作成し、退院時に説明しています。

その他、毎月定期的に医師・看護師・薬剤師・栄養士・医療相談員と協力し、心臓リハビリテーションセンターにて「心臓リハビリ教室」を開催し、患者さんやご家族に対して、心臓や血管に関する病気・治療の理解を深めるお手伝いをしています。

 

呼吸器リハビリテーション

呼吸器リハビリは、肺や食道、胃など胸部・上腹部の手術後および慢性閉塞性肺疾患等で日常生活能力の低下を来している患者さんが主な対象となります。

術後の患者さんは、術翌日から呼吸練習や早期離床を図り、無気肺や肺炎等の術後合併症の予防や日常生活動作の早期回復に努めています。
呼吸器疾患の急性増悪に伴い人工呼吸器を使用している患者さんには呼吸ケアチーム等と連携し、呼吸器からの早期離脱を目指した呼吸練習や離床練習を実施します。
慢性閉塞性肺疾患等の患者さんには呼吸法や排痰法の指導に加え、歩行や日常生活動作等の動作練習も併せて行い、呼吸困難感の軽減や全身状態の改善を図り、早期の社会復帰を目指します。

 

がん患者リハビリテーション

がんの患者さんは、筋力や持久力の低下、歩行障害、日常生活動作の問題など入院生活による活動量の減少から生じる一般的な問題、および疼痛、リンパ浮腫、末梢神経障害、運動麻痺などがんそのものによる特別な問題が生じることがあります。これらの問題に対して、二次的障害を予防し、運動機能や日常生活動作の低下予防・改善を目的としてリハビリを行います。
リハビリの内容は、筋力強化練習や関節可動域練習、歩行練習、日常生活動作練習など、他のリハビリと大きな違いはありません。特徴としては、化学療法や放射線療法などの治療と平行して行われることが多く、痛みや気分不良など日々または時間で変化する症状に応じて適切なリハビリを実施することです。

がんのリハビリを実施するには規定の研修を修了する必要がありますが、当院は医師、看護師、リハビリスタッフのチームで研修会に参加し、理学療法士13名、作業療法士5名、言語聴覚士1名ががんのリハビリを提供しています。

 

作業療法

作業療法は、食事・更衣・整容・入浴といった日常生活動作に加えて、趣味・職業といった“生活に関する動作”を対象としており、それらが困難となった場合にサポートする職種になります。

対象疾患は、脳血管障害、発達障害、運動器障害・内部障害などがあります。
それぞれの専門性や体制については以下をご参照下さい。

 

脳血管障害

運動麻痺や感覚障害など(身体機能障害)に加えて、言語・思考・記憶・行為・学習・注意などの障害(高次脳機能障害)が原因で困難となった生活動作の改善を目指します。特に高次脳機能障害については、入院中では症状が明らかにならない場合もあり、退院または転院後に支障が出ぬよう重点的に評価・治療をすすめ、必要に応じて転院先・家族・復職先などへ情報提供を行なっております。

 

発達障害

出産まもなく障害を負った、又はそれが疑われるお子様に対して、早くは保育器の時期(新生児集中治療室:NICU)から作業療法を実施しています。
NICUでのリハビリテーションは、全国的にも普及していないため当科の作業療法の特徴といえます。

以上のように、当院の作業療法は脳血管障害や発達障害に重きを置きつつ幅広い疾患をサポートしています。 そのため、各疾患の病態知識や技術の向上を目的に、作業療法内での定期的なカンファレンスや勉強会の実施、専門学会への演題発表、さらには若手スタッフに対する組織的な教育体制の構築など積極的に取り組んでいます。

 

言語聴覚療法

言語聴覚療法では、成人から小児まで幅広く訓練を行っています。
成人分野では、主に脳血管障害やがんなどによって生じる構音障害、失語症、注意や記憶などの高次脳機能障害に対して、必要な検査や治療を行い、機能回復や障害の軽減を図り、社会復帰への援助を行っています。

小児分野では、主にことばの発達に遅れがみられるお子様に対して訓練を実施し、ご家族の皆様が安心して生活できるようお手伝いしています。

訓練では、お子様のペースに応じた頻度で、ことばや身振りなど、コミュニケーションの発達や成長を促し、必要に応じて検査および訓練・指導・助言・その他援助を行い、社会や家庭で生活しやすいよう訓練します。

 

摂食機能療法

食べ物や飲み物が『飲み込めない』、または『飲み込んでも気管に入って誤嚥してしまう』等の症状の方に対し、安全に食べることが出来るかどうかの評価や訓練を行います。
患者さんの口の動きや飲み込む力など、個々の問題点に応じた食事を提供するだけでなく、食事内容が身体に見合った栄養価であるのかを総合的に判断するために、栄養科との連携もしています。

また、毎週金曜日にはNST回診に参加し、嚥下機能だけでなく栄養面からもチームで情報共有ができるようにしています。


嚥下造影を行い、実際の食べ物の通過をみる検査(VF)
 


嚥下機能評価場面