放射線治療このページを印刷する - 放射線治療

放射線治療は、手術による外科療法、抗がん剤による化学療法に並ぶがん治療のひとつで、放射線により腫瘍細胞のDNAを切断することにより、腫瘍細胞に致死的ダメージを与えて腫瘍を消失、または縮小させます。手術をすれば、身体の形や機能が損なわれるような場合でも、放射線治療では切らずにがんを治療することが可能です。

また、身体への負担も少ないので、ご高齢の方、合併症があって手術が受けられないような方でも治療することができます。なお、がんによる痛みを軽減するための放射線治療も行っています。

一回の放射線治療にかかる時間は数分ですが、治療期間は6~7週間、毎日照射することが勧められるものから2週間程度で終了するものまで、治療する対象や目的などにより異なります。また、外来通院で放射線治療を行うことも可能です。

 

2017年 放射線治療数

 

頭部

グリオーマなどの原発性脳腫瘍に対して、脳神経外科と連携して根治的照射、術後照射を行っています。転移性脳腫瘍に対しては全脳照射により症状の緩和、進行抑制を図っています。
*脳定位照射(ピンポイント照射)については現在当院では行っておりません。治療適応及び退院への紹介のご相談には応じています。
 

頭頸部

耳鼻いんこう科と協力しながら咽頭がん、喉頭がんなどの治療に当たっています。早期の喉頭がんについては放射線単独で根治が期待できます。進行した喉頭がんや咽頭がんについては化学療法を併用した放射線治療や手術後の放射線治療を行っています。唾液腺や甲状腺がんの術後照射も行っています。

 

胸部

局所進行期の肺がんに対して呼吸器内科の協力の元に根治的放射線治療を行っています。可能な方には化学療法を併用して治療成績の向上を目指しています。胸部外科と連携をとりながら手術前、手術後に放射線治療を行うこともあります。 リンパ節転移がない末梢型の肺がんの方で何らかの理由で手術が難しい場合には、定位放射線治療(ピンポイント照射)を行っています。

 

乳腺

乳房温存術後の再発予防目的にて放射線治療を行っています。乳房切除後の方でも術後にリンパ節転移が確認された方などは術後に放射線治療を行っています。当院の外科からの紹介で治療を行うことが多いですが、他院で手術をされた方でも当院で放射線治療を受けていただくこともできます。

 

消化器

外科、消化器内科と連携して診療に当たっています。

食道がん:主に進行期の食道がんに対し、症例に応じて放射線治療単独、化学療法併用放射線治療、術前/術後放射線治療を行っています。

膵がん:手術が困難な病変に対し化学療法を併用した放射線治療によって予後の改善を目指しています。

肛門がんなどの比較的まれな腫瘍、胃がんや大腸がんの再発例に対しても放射線治療を行っています。肝臓がんや肝転移に対しては定位放射線治療(ピンポイント照射)も行っています。

 

泌尿器、生殖器

泌尿器科、婦人科と連携して治療を行っています。前立腺がんや子宮がんは放射線治療にても根治可能な疾患です。
*前立腺癌に対するIMRT(強度変調放射線治療)は現在のところ当院では施行していません。

 

血液疾患

悪性リンパ腫は一般に放射線への感受性が高く、放射線治療の良い適応となります。血液内科と連携し、放射線治療単独または化学療法と組み合わせて寛解を目指した治療を行っています。

 

緩和治療

痛みや神経症状を伴う骨転移に放射線治療を行うことにより症状を和らげることができます。腫瘍による消化管や気道の圧迫/狭窄、出血に対しても放射線治療が有効な場合が多いです。このような症状でお困りの場合はお気軽にご相談ください。

 

その他

皮膚がん、骨軟部の腫瘍に対しても放射線治療を行う場合があります。
ケロイド、甲状腺炎に伴う眼球突出などの良性病変に対しても放射線治療を行うことがあります。