ペースメーカーが必要な病気とは?
ペースメーカーが必要な病気とは? 徐脈性不整脈について(症状・原因) 突然死を予防するデバイス(ペースメーカー)がある 心不全を改善するデバイス(ペースメーカー)がある
ペースメーカーが必要な病気とは?
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不整脈には大きく分けて3つの種類に分かれます。なかでも『徐脈性不整脈』は、拍動がゆっくりになる状態をいいます。この場合、疲労感や息切れ・めまいなどの症状が現れることがあり、状況に応じてペースメーカーでの治療が必要になります。
- 『頻脈性不整脈』…心房頻拍、心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍、WPW症候群、心室頻拍、心室細動
- 『徐脈性不整脈』…洞不全症候群、房室ブロック
- 『期外収縮』…心房性期外収縮、心室性期外収縮
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脈が病的に遅くなる『徐脈性不整脈』のメカニズムは、洞不全症候群と房室ブロックと呼ばれる2つのものが考えられます。興奮信号を発する洞結節とよばれる部位の機能が悪くなる場合を ”洞不全症候群(どうふぜんしょうこうぐん)”といいます。電気の通り(伝導)が悪くなる場合を伝導障害といいますが、多くは心房と心室の連結部(房室結節)で障害が生じ、 ”房室(ぼうしつ)ブロック” と呼ばれています。
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徐脈性不整脈について(症状・原因)
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徐脈は加齢によって起こりやすいといえます。また、甲状腺の病気や薬の副作用として徐脈が起こるケースもあります。
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拍動がゆっくりになると全身に循環する血流量が下がりますので、疲労感や息切れ、めまいなどの症状が現れます。ただし、症状については多様で、同じ種類の不整脈でも何も感じない方もいますが、自覚されていないだけで、検査をしてみると異常状態(心不全など)になっている場合もあります。
徐脈の多くは直ちに命に関わることは少ないので、自覚症状がなければ経過観察をする場合が少なくありません。しかし、徐脈が原因で失神を起こす場合・息切れやだるさなどの症状が強く日常生活に支障をきたす場合・心不全の疑いがあるような場合にペースメーカーによる治療の検討が必要になります。
突然死を予防するデバイス(ペースメーカー)がある
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それまで健康だと考えられていた人が、突然に致死的不整脈(ちしてきふせいみゃく)を発症し心臓が正常に収縮することができなくなり死に至る場合があります。突然死は、予期しない急死のことで発症から24時間以内の死亡と定義されています。
原因は、心筋梗塞をはじめ、心筋症、弁膜症、心不全などの心臓病によるものが7割以上を占め、そのほとんどが致死的不整脈に起因するといわれています。本邦での突然死の発症数は年間5~7万人と報告されています。この致死的不整脈の代表が心室細動(しんしつさいどう)という不整脈になります。
多くの場合は心臓にもともと病気がある方に起こりえる現象ですが、心臓突然死の約5~10%で心臓に基本的な病気がない場合(“基礎心疾患がない”と表現します)があるとも言われています。
致死的不整脈から即座に正常脈に戻すためには、電気ショック(電気的除細動)が有効であるとされています。
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発作は病院で起こることは少なく、院外でもAED(自動体外式除細動器)とよばれる電気ショックを自動的に行ってくれる器械があり救命活動を行うことができます。
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しかし、致死的不整脈は睡眠中をはじめ何時でも何処でも起こりえます。そこで除細動器を体の中に植え込んで、不幸にも致死的心室性不整脈が起こった場合でも自動的に電気ショックを行ってくれる特殊なペースメーカー『植込み型除細動器』を使用して対応します。
心不全を改善するデバイス(ペースメーカー)がある
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健康な心臓では心臓の血液を送り出す部屋である左右の心室はほぼ同時に収縮します。このことを心室が「同期している」といいます。ところが、心臓の電気信号がうまく伝わらず、左右の心室がバラバラに収縮している(同期障害)状態では、血液を十分に送り出せません。
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ペースメーカーで人工的に電気信号を出して規則正しいリズムにすることができます。左心室の離れた二カ所に向かって電気を送り、心臓に伝わる電気信号の順序を整え(再同期)、心機能を改善つながる場合があり、心臓再同期療法といいます。