カテーテルアブレーション治療とは?このページを印刷する - カテーテルアブレーション治療とは?

カテーテルアブレーションとは?

不整脈のカテーテル治療の事をカテーテルアブレーションといいます。

 

アブレーションとは『焼灼・焼く』という意味で、血管を通じて心臓に挿入した細長いカテーテルという管を使って、不整脈の原因となっている部分を心臓の内部から焼き切る治療です。

  
正常の心臓の規則的な運動は心臓の内部に走る電気信号でコントロールされていますが、この正常な電気活動以外に異常な電気信号が出ることで不整脈が発生します。この異常な電気信号を消し去ることができれば不整脈を治すことが可能になります。 カテーテルアブレーションという治療法は、

  1. 不整脈の原因となる異常な電気信号を探しだして
  2. その部分に治療用のカテーテルを図のように配置して
  3. 焼き切ることで不整脈を治す治療ということです。


 
 

 

カテーテルアブレーションで治療できる不整脈

多くの”頻脈性不整脈”と”期外収縮”が治療対象となります。

 
  • 『頻脈性不整脈』…心房頻拍、心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍、WPW症候群、心室頻拍、(心室細動)
  • 『期外収縮』…心房性期外収縮、心室性期外収縮

 

カテーテルアブレーション治療の実際

麻酔で苦痛なく眠っていただいて治療します。傷口が小さく数日で退院が可能です。
 

当院で行っている心房細動カテーテル治療の様子を写真でお見せします。
まず、(1)患者さんは麻酔で苦痛なく眠っていただき、
(2)苦痛を感じない状況で、腕や足の付け根の血管からカテーテルを体内に挿入します。
続いて、(3)体の中を直接観察するのではなく、レントゲンを通じて間接的にカテーテルを操作することで治療を行っていきます。

皮膚に大きな傷をつける手術とは違ってカテーテルでの治療ですので傷口も小さく、当院では3泊4日の入院期間で退院が可能となります。
心臓そのものは複雑な形をしているので、心電図やレントゲンの情報だけでは心臓の中の位置情報を把握することが困難ですので、『3Dマッピングシステム』という最新機器を用いてカテーテルを動かすことが一般的です。

 

最新機器を導入することで安全かつ有効に治療が可能です。

 

心臓の3Dコンピュータ画像の中に、実際に使用しているカテーテルを正確に表示することで、カテーテルが心臓の中で治療を行っている様子をあたかも直接心臓の中を開いて覗いているかのように、リアルタイムに観察しながら、安全かつ有効に治療を行うことが可能となっています。

  

このような最新機器を導入することで、高い確率で心房細動を治す治療が提供できるようになりました。

 

心房細動のカテーテルアブレーション

”肺静脈隔離(はいじょうみゃくかくり)”を基本治療とします。当院でもたくさんの患者さんの治療を行っています。
 

1990年代後半から心房細動に対してカテーテルアブレーションが行われ始めるようになりました。心房細動の発生機序として現在分かっていることは、不規則に乱れる心房細動を発生させるきっかけとなる刺激があるということです。そのきっかけとなる期外収縮と呼ばれる刺激の多くは、左心房に付着している4本の肺静脈という血管から発生していることが分かりました。そこで、肺静脈の中にカテーテルを挿入して、その不整脈の原因となっている部分を焼く治療が始まりました。

肺静脈と左心房のつながりの部分を焼いて、電気的に絶縁状態にします。そうすることで心房細動を発生されるきっかけが閉じこめられて心房細動が起こらなくなるのです。この肺静脈隔離とよばれるカテーテルアブレーション法により、大半の心房細動抑制することが可能となりました。

 

カテーテル治療については、カテーテルを体内に入れて行う治療のため簡単ではないこと、根治率が心房細動の病期などによって異なり2回目が必要になる場合があること、などの課題が残されています。しかし、医療技術の発達とともにこのような課題が改善されているのも事実です。カテーテル治療で発作回数や持続時間を減らすことによって生活の質を向上させ、ひいては生命予後を改善させる効果についても最近は報告されるようになってきました。

 
※発作性心房細動は8.7%、持続性心房細動は24.6%で抗不整脈薬を使用。

治療の適応となる患者さんは(1)症状で困っている方、(2)薬が効きにくい方、などとなっていますが、この中の全員にカテーテル治療が有効というわけではありません。治療方法については医師とよく相談のうえで選択させていただくことになります。

心房細動になった場合、抗凝固療法やカテーテルアブレーションなどの治療法を考えることは大事ですが、これらを受けていればもう安心という訳ではありません。抗凝固薬には出血が止まらないリスクが、カテーテルアブレーションには再発するリスクがあります。生活習慣病が多い程そのリスクが高まる事が分かっており、生活習慣を見直すことは心房細動の発症予防だけでなく治療の効果を最大限引き出すためにも大切です。

 

2016年11月に当院で行った市民公開講座の資料から、”心房細動・体験記”を御紹介します。