心房細動とは?
心房細動とは?
心房(心臓の上の部屋)全体が無秩序・小きざみに興奮し拍動がバラバラになる不整脈を心房細動といいます。左の図のような正常な電気の流れに比べて、心房細動では右の図のように動きが不規則に乱れた状態が続いてしまいます。心房細動とは心房とよばれる心臓の上の部屋が、細かく動くと書きますが、字のごとくこのように上の部屋が細かくブルブル痙攣した状態になります。
この心房細動は、段階的に進行していく傾向があり、早期段階ではこの痙攣が短時間で消失しますが、しだいに頻度が増えて停止しにくくなり、最終的には慢性化するという性質があります。
脳梗塞との関係
心房内にできる”よどみ”によって血液の塊(かたまり)・血栓が生じ、心原性脳塞栓症と呼ばれる脳梗塞をおこします。心房細動によって患者さんが困ることは大きく3つに分かれます。
(1)自覚症状
(2)脳梗塞
(3)心不全
動悸や息切れなどの自覚症状が第一に挙がりますが、症状の感じ方には個人差があります。
中には動悸がつらくて、すぐ救急車を呼ぶ方もいますが、実際には半数以上の患者さんは症状が全くないのが現状です。
次に、先ほどのような大きな脳梗塞を起こす。
心房細動では心房が細かく痙攣していますので、心房内の血流に”よどみ”ができやすい状況が生まれます。このよどみによって、血液の塊(かたまり)・血栓が生じます。これが心臓の中を飛び出して飛んでいくことがあるのです。心臓から出て行った血栓は血管を通って体中に飛んでいきます。脳の血管にたどり着いた血栓は血管を根元で詰めますので、大きな脳梗塞を生じることになります。
あるいは心不全とよばれる心臓のポンプ機能低下を起こすことになります。
最近では心房細動が認知症の原因にもなるということも分かってきています。
先ほど半数の方は自覚症状がないとお話ししました。症状がないために心房細動そのものの発見が遅れ、突然の大きな脳梗塞になって初めて心房細動があったことが判明する気の毒な方もいらっしゃるということが重要だと思います。
心房細動については命に直結する可能性は低い不整脈なのですが、脳梗塞で寝たきりになる可能性を秘めており、放置できない重要な病気ですので、医師との相談が必ず必要になると考えてください。
心房細動の原因
高齢化とライフスタイルが大きな要因と考えられています。
ほとんどの方は心臓に病気がないのに発症します。
実は加齢に伴う変化が最も大きな要因と考えられます。加えて大きな要因が、血圧・肥満。
アルコール摂取といった生活習慣の異常との密接な関係があることがわかっています。
加齢や生活習慣が原因になる病気ですので、60歳になると頻度が比較的増え始めると言われています。80歳以上では10人に1人くらいの方が心房細動を発症されていると言われています。
高齢化とライフスタイルの欧米化によって、心房細動の患者さんが年々増え続けています。
早期発見することで脳梗塞の予防をおこないましょう。
心房細動の症状がない患者さんも多くおられますが、脳梗塞予防という観点からは心房細動の早期発見が重要であると考えられます。
心房細動を見つけるには心電図検査が必要になりますので、早期発見のためには健康診断やかかりつけの病院で定期的に心電図検査を受けておく必要があります。
心房細動の治療
血液をサラサラにして脳梗塞の予防を行いながら、心房細動そのものへ介入を行っていきます。まずは脳梗塞を予防するために血液をサラサラに保つ薬を内服していただきます。
血液をサラサラにしても心房細動自体をコントロールすることにはなりませんので、心房細動自体に介入していく治療が必要になります。
具体的には『リズムコントロール』や『レートコントロール』が必要になります。生活習慣の改善も重要です。
第一に原因となり得る生活習慣の改善を行っていただきます。
それだけで心房細動を抑制することにはつながりませんので、次に『リズムコントロール』や『レートコントロール』が必要になります。
心房細動自体をコントロールする治療・・・『リズムコントロール』と『レートコントロール』
■『リズムコントロール』
心房細動自体を抑え正常の脈を維持する治療をリズムコントロールといい、心房細動をコントロールするうえでは非常に重要な位置づけになると最近では考えられています。
リズムコントロールには、薬物治療と、カテーテル治療の2種類があります。
■『レートコントロール』
一方、正常の脈をずっと維持し続けることが理想ですが、慢性化した心房細動の場合、治療に反応せず、正常な脈に戻し、さらにはそれを維持することが、難しいのが現状です。心房細動と付き合い、心拍数を薬物治療によって抑えて心不全予防や症状軽減を目指す治療をレートコントロールといいます。
『リズムコントロール』について詳しく教えてもらえますか?。
リズムコントロールには、抗不整脈薬とよばれる薬を内服いただく薬物治療と、薬物を用いずにカテーテル治療を行うという2種類の治療があります。
抗不整脈薬というくすりは不整脈が起こらないように、心臓が正常の脈を維持するように心臓に働きかける薬です。薬を飲むという治療は手軽ですが、薬では心房細動の進行を抑えることはできず、一時的には発作を予防できても、いずれ効果がなくなる可能性があります。また年齢が進むほど副作用が多くなるという問題があります。
一方のカテーテル治療は、体に大きな傷などを残さずに手術をして心房細動を根本的に起こらなくすることを目指した治療です。