不整脈とは?
心臓の拍動と不整脈
心臓が正常に拍動しない状態を”不整脈(ふせいみゃく)”と呼びます。
心臓は”心筋”と呼ばれる筋肉が集まってできています。心臓には、これらの筋肉細胞が同調して適切なタイミングで細胞が動く(興奮する)ための電気システムが備わっています(専門用語で“刺激伝導系(しげきでんどうけい)”といいます)。このシステムが正常に作動すれば、心臓はリズムよく拍動を続けます。
ところが、この電気システムの電気信号の発生や伝達がうまくいかなくなると、心臓のリズムを刻む拍動も正常でなくなってしまいます。この状態を不整脈と呼びます。
不整脈の症状
拍動が速くなるタイプの頻脈性不整脈では、動悸や胸の不快を感じる場合が多くあります拍動がゆっくりになるタイプの徐脈性不整脈では、疲労感や息切れ、めまいなどの症状が現れます。
不整脈には多くの種類があり、放置して良いものから、命に関わるものまでさまざまです。それぞれ重症度や治療方法も異なってきます。
症状については多様で、同じ種類の不整脈でも何も感じない方もいれば、救急車を呼ぶほど症状が強い方もいます。
不整脈の診断
症状や異常があるときのリアルタイムの心電図記録(=現行犯逮捕)が診断の原則です。不整脈を正しく診断する為に、幾つかの診断方法があります。心臓のリズミカルな拍動を記録するには心電図記録を行うことが原則です。
ところが、不整脈の中には終日続いているものもあれば、一日のうち数分だけ出るようなものもあります。心電図をとっているときに、たまたま不整脈が出れば診断がつくのですが、なかなかそういう機会には恵まれません。
そうした一過性の不整脈を診断するには長時間心電図を記録する方法もあります。この検査は入院は必要なく、普段の生活の中での心電図記録が可能となります。より正確な診断の為には、入院してカテーテルを心臓内に入れて行う検査を行うこともできます。
不整脈の原因
加齢、生活習慣異常は原因となりえますが、原因が1つに特定できないことが多いです。不整脈は60歳以上になると増えてくることから、「加齢」は原因の一つです。また、心不全や心筋症といった「心臓の病気」も不整脈の発生に大きく影響します。
そのほか、重い肺の病気や甲状腺の病気などの心臓以外の病気も不整脈の一因となります。そのほか、服用している薬が不整脈を引き起こす場合もあります。薬の一部には、自律神経や心臓の電気の発生に影響する成分を含んでいるものがあります。
また、生活習慣も不整脈の原因となりえます。ストレスや睡眠障害(睡眠時無呼吸)、過労、喫煙、アルコールやコーヒーなどカフェインを多く含む飲料のとりすぎなどは、交感神経を刺激して電気の発生に異常を及ぼし、脈が乱れることがあります。
先天的な異常で不整脈が出る場合もありますし、不整脈の原因は複合的で原因を一つに特定することや原因を特定できないこともあります。
不整脈の種類と治療
不整脈は大きく分けて3つの種類があります。速くなる「頻脈性不整脈」、脈の遅くなる「徐脈性不整脈」さらに、脈が飛ぶ「期外収縮」です。種類に応じて治療方法を検討します。- 『頻脈性不整脈』…心房頻拍、心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍、WPW症候群、心室頻拍、心室細動
- 『徐脈性不整脈』…洞不全症候群、房室ブロック
- 『期外収縮』…心房性期外収縮、心室性期外収縮
不整脈の治療方法は、お薬治療・カテーテル治療・ペースメーカー治療があります。
お薬治療は、根治が期待できない・副作用の可能性があるなどのデメリットがあります。
多くの頻脈性不整脈や期外収縮は、カテーテルアブレーションが有効で、多くは根治が期待できます。一部の頻脈性不整脈の中に、突然死のリスクが高い場合があり該当すれば植込み型除細動器(ICD)を植込みます。ICDは不整脈を停止させて突然死を予防します。
徐脈性不整脈には、心臓ペースメーカを植込み、人工的な興奮刺激で心臓の拍動を補います。