ガンマカメラ・PET装置このページを印刷する - ガンマカメラ・PET装置

RI検査

RI検査は、ごく微量の放射性物質(放射性同位元素:Radioisotope、以下RI)を含んだ薬を用いて病気を診断する検査です。

この微量のRIが注射などにより体内に入ると、特定の臓器や病変(脳、心臓、骨や腫瘍・がん細胞など)に取り込まれ、そこから放射線を放出します。この放出された放射線をガンマカメラ、あるいはペットカメラと呼ばれる特別な装置で体の外から測定し、コンピュータで処理したのち、画像にすることがRI検査になります。
ガンマカメラを用いるのがSPECT検査(SPECT;Single Photon Emission Computed Tomography=単光子放射断層撮影法)、ペットカメラを用いるのがPET検査(PET; Positron Emission Tomography=陽電子放射断層撮影法)です。

検査の特徴としては、SPECT検査、PET検査とも、臓器や病変の形・内部性状をみる精度はCTやMRIにはかなわないものの、それぞれの臓器の働き・機能をみることができるという点で、CTやMRIなどよりも優れた効果を発揮できます。

また、検査に使うRIは放射線を出すといってもごくわずかの量であり、しかも体内に投与した後はまさに分きざみでどんどん消失していきますので、放射線被ばくは少なく、安心して検査を受けていただくことができます。
一例として、PET検査で患者さんが受ける被ばく線量は8.5-17.5mSvといわれており、これは胃のバリウム検査1回分に相当する程度です。

SPECT検査の最近のトピックスとしては、2014年1月27日より、認知症のための検査薬として新たな製剤が発売されました。

この薬「ダットスキャン」は、認知症を示す疾患の中で最も多いアルツハイマー型認知症*2(表1参照)と、最近多いことが分かってきたレビー小体型認知症*3(表1参照)とを区別できることが期待されています。
また全く別の疾患で、手足の震えや動作が遅くなったり少なくなったりするなど、体の動きが悪くなり、進行期には認知症を示すことのあるパーキンソン症候群などを正確に診断するのにも用いることができます。

検査は約2mlの検査薬を静脈注射し、3時間ほど病院で休んでもらった後、30~40分ほどかけて脳の画像を撮影いたします(図1参照)。
この検査を行うことにより、認知症診断に対して、これまでにも増して診断精度向上に貢献できるものと思います。
 

【表1】
*2 アルツハイマー型認知症・・・脳内で特殊なタンパク質異常が起こり、 脳内の神経細胞がどんどん壊れ、脳が次第に萎縮していき、知能・身体全体の機能が衰えていく。
*3 レビー小体型認知症・・・初期に幻覚(特に幻視)や妄想が出てくる。そのうち、物忘れなど認知症の症状が現れ、さらに体が硬くなる・動作が遅くなる・小またで歩くなど、パーキンソン病に似た運動障害が出てくる。
*4 本態性振戦(ほんたいせいしんせん)・・・自分の意思に反して手や足などが震える。

 

【図1】ダットスキャンによるイメージング

 

PET検査

PET検査は、ブドウ糖に似た18F-フルオロデオキシグルコース(18F-fluorodeoxy glucose、以下18F-FDG)というRIを静脈注射で投与します。
がん細胞は正常細胞に比べて3~8倍と、大量のブドウ糖を摂取することが知られています。
一方、18F-FDGはブドウ糖にとてもよく似た薬剤で、ブドウ糖と同じようにがん細胞に取り込まれます。

体内に投与された18F-FDGは、脳や肝臓など正常でも代謝が盛んに行われている部分などとともに、がん細胞にも取り込まれ、これらの取り込まれた部位から放出される放射線をペットカメラで撮影、画像化します。腫瘍の形や大きさを見るCTなどの他の検査とは異なり、腫瘍の代謝活性に基づいて診断をしているわけです。

以前は、ペットカメラだけで撮影を行い画像を得ていましたが、どうしても得られる画像がぼんやりしたものになりがちでした。そこでペットカメラに従来のCT装置を組み合わせて一体化した装置が登場し、CTの画像とペットカメラの画像を重ね合わせる技術が生まれました。これが当院でも採用しているPET-CT検査です。 この装置の導入により、病変のより詳細・正確な情報が得られるようになりました。

現在では、がんなどの病変があった場合、まずは病変の大きさや形、内部性状などの判断をするため、CTやMRIなどの検査を行い、それに加える形で、病変がどこまであるか、どこに転移があるか、どの病変が特に悪いのかなどを判断し、がんに対する様々な治療方針の中でどれを選択すべきかを決定する判断材料として、PET-CT検査が欠かすことのできないものとなっています。