勉強会
第9回2018年10月16日(金)15時~16時
第8回2018年5月26日(土)16時00分~16時30分
第7回2017年10月27日(金)15時00分~16時15分
第6回2017年5月19日(金)15時~16時
第5回2016年11月11日(金)15時~16時
第4回2016年05月20日(金)15時~16時
第3回2015年11月20日(金)15時~16時
第2回2015年05月22日(金)15時~16時
第1回2014年11月28日(金)15時~16時
「みんなで考えるがんと遺伝~ゲノム情報を用いたがん予防と効率的ながん治療~」
認定遺伝カウンセラーである、大阪母子医療センターの松田圭子先生と、FMC東京クリニックの田村智英子先生を招聘し、講演していただきました。
なお、この市民公開講座は公益財団法人正力厚生会から協賛をいただき、開催しました。
ありがとうございました。
この場を借りて、お礼申し上げます。
講演を聞いて、「勉強になった」、「勇気付けられた」と、言った意見が聞かれました。
今回の市民公開講座は、計183名にご参加いただきました。
ご参加いただいた、皆様どうもありがとうございます。
市民公開講座のより詳しい内容は、会報誌、「ひまわりの会」だよりにも掲載されております。
ぜひそちらも、ご覧ください。
>「ひまわりの会」だよりのページはこちら
・最初に「遺伝カウンセラーとは?」と、先生の自己紹介や経歴をうかがいました。
・次に、「がんが遺伝するってどういうこと?」ということで改めて「がん」について発症の過程やがん発症に関わる遺伝子の話をしていただきました。
車の運転に例えたり、図柄を用いて詳しく説明して下さったのでとてもわかりやすかったです。
・そして私達リンチ症候群の家族的発症の仕方を家系図の例を用いて学びました。遺伝性を見極めるのはとても難しい事で、家系図はとても有効になるそうです。
・現在遺伝カウンセラーは、全国で200名の資格保有者がいます。
岩国医療センターでは、2006年から「家族性腫瘍相談外来」が発足し、松田先生他、数名の専門家による遺伝カウンセリングを提供しています。
→遺伝カウンセリング(PDF)
また、「リンチ症候群と免疫」について田中屋医師が解説しました。
天然痘は、紀元前1万年前以上も前からアジア、アフリカの農村で出現していた感染症で、致命率が極めて高く、20世紀だけでおよそ2~3億人が死亡した恐い病気です。
牛痘にかかると天然痘にかからない、すなわち免疫を獲得することが知られるようになり、1798年にイギリスの医学者、エドワード・ジェンナーが天然痘ワクチンを初めて開発しました。
免疫とは、すなわち「疫(悪性の伝染病)」を「免(まぬか・まぬが)れる」ことを意味します。
免疫は液性免疫(抗体)と細胞性免疫(リンパ球)に分類されますが、がんの免疫療法では細胞性免疫に関与するT細胞が中心的な役割を担っています。
がん治療法としてこれまで、1.外科手術、2.放射線療法、3.化学療法がありましたが、がん免疫療法は、これらに続く4番目のがん治療法の柱として注目されています。
がん免疫療法のひとつに、免疫チェックポイント阻害剤があります。これは、がん細胞が免疫から逃れようとT細胞にかけたブレーキを解除して、体内にもともとある免疫力を活用する薬です。
米国では2017年5月23日に、免疫チェックポイント阻害剤、ペムブロリズマブが“特定の条件”を満たす固形がんを対象に米食品医薬品局(FDA)から迅速承認さました。同年8月1日に、ニボルマブも、“特定の条件”を満たす転移性大腸がんを対象にFDAより迅速承認されました。
ペムブロリズマブとニボルマブが承認された際の“特定の条件”とは、「ミスマッチ修復機能の欠損を示す」というものでした。「ミスマッチ修復機能の欠損を示す」腫瘍は、リンチ症候群に限ったものではなく、一般の癌でも見られますが、リンチ症候群ではミスマッチ修復機能欠損を示す腫瘍が約90%と非常に高い割合を占めるため、免疫チェックポイント阻害剤は効果があると考えられています。
日本では、2017年9月に、ニボルマブが臨床試験を経て、胃がん対象に保険適用が認められ、今後リンチ症候群の治療薬として効果が期待されています。
今回は、
1.リンチ症候群の定義
2.ミスマッチ修復遺伝子の種類
3.変化の見つかった遺伝子別の、70歳までに発症するリスクの高いリンチ症候群関連腫瘍
4.推奨されている検査
について勉強しました。
さらに、第1回~第5回の勉強会で学んだ以下の内容を、セルフチェックテストで復習しました。
日本のリンチ症候群の体質を持つ患者さんは、
1.大腸癌、胃がん、子宮体がんに特に気をつけること
2.一般では、放置されることの多い5mm未満の大腸腺腫も摘除すること
3.リンチ症候群の大腸癌を発症した人の10%は20代で発症するため、大腸内視鏡は20代から始めること がポイントです。
京都府立医科大学の石川秀樹先生著、「『大腸がん』のことがよくわかる本~専門医が書いた最も信頼できる処方箋」をもとに、大腸がんにならないためには、どのような食事や生活をしたらよいか、10項目のテストをしました。
毎日朝ごはんを食べているか、牛乳・ヨーグルトなどは毎日とっているか、毎食野菜を欠かさず摂っているか、毎日歩いたり運動したりするよう心がけているか・・・などの質問10問を全員で答えました。
皆さん苦戦しておりましたが、成績優秀な方は、なんと10問中9問正解されていた方もいらっしゃいました。
また、質問の中に、1日に摂取してよい赤身肉の量の記載もありました。気になるこの質問。1日当たりの摂取量は、1日80グラム(みかん中1個ぐらい)以下が理想的とのことです。
従来、赤身肉の摂り過ぎは、大腸がんのリスクとなると言われていました。しかし、最新の情報によると、豚肉は、牛肉、羊肉、馬肉のような赤身肉に比べ、大腸がんを引き起こすリスクは、それほど高くない可能性が近年報告されました。
リンチ症候群の方のお子さんがリンチ症候群の体質を受け継ぐ可能性は50%です。
体質を受け継いでいるかどうかは、血液検査で調べることができます。(なお、遺伝学的検査を行う前には、しっかりとした遺伝カウンセリングを受けることが必須となっています。)
20歳ごろになると、親元を離れるお子さんが大半のため、10歳代の後半頃から準備を始める必要があります。
なお、胃がんの発生にはピロリ菌感染の影響が大きいことがわかってきました。
ヨーロッパのガイドラインでは、胃癌の多い地域(日本などの東アジア諸国)では25歳以上の方を対象にピロリ菌に感染していないか検査することが勧められています。
ピロリ菌は、はき出す息で検査することができます(尿素呼気試験法)。感染していたら、3種類の薬を飲むことで除菌でき、胃がんのリスクを下げることが期待できます。
近年、がん細胞が免疫のはたらきに抑えて、免疫細胞(活性型細胞傷害性T細胞)からの攻撃を免れている(免疫寛容状態)ことがわかってきました。
そこで、がん細胞による免疫寛容を解除することで、細胞傷害性T細胞によるがん細胞障害性を回復させ、がん細胞を攻撃できるようにする新たな治療法が考えられました。
免疫チェックポイントと呼ばれている部分(PD-L1とPD-1の結合)を阻害する薬(免疫チェックポイント阻害薬)が実際に使用されるようになっています。
大腸癌のなかでは、マイクロサテライト不安定性という特徴を示すものに効果があるといわれています。リンチ症候群の大腸がんは大部分がマイクロサテライト不安定性を示すといわれており、免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待されています。
リンチ症候群は助成対象になっていないのですが、今後、助成対象となることを願っています。
(政府広報オンラインより引用:http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201412/3.html)
「難病の患者に対する医療等に関する法律」と「児童福祉法の一部を改正する法律」。平成27年1月1日施行。
新たな医療費助成制度では、安定的な制度とするために、「指定難病」や「小児慢性特定疾病」の患者さんへの医療費助成に要する費用の2分の1を、国が負担する(消費税から充当)ことが法律で定められました。
医療費助成の対象となる病気について、従来の56疾病から「指定難病」として約300疾病へ、小児慢性特定疾病は従来の514疾病から704疾病に拡大されました。
患者さんの自己負担の割合や負担の上限額が変わります。
リンチ症候群に限定した全国的な研究会が立ち上がったそうです。平成26年11月29日順天堂大学医学部で第1回リンチ症候群研究会シンポジウムが開催されました。研究会の発展を祈念しております。
第8回2018年5月26日(土)16時00分~16時30分
第7回2017年10月27日(金)15時00分~16時15分
第6回2017年5月19日(金)15時~16時
第5回2016年11月11日(金)15時~16時
第4回2016年05月20日(金)15時~16時
第3回2015年11月20日(金)15時~16時
第2回2015年05月22日(金)15時~16時
第1回2014年11月28日(金)15時~16時
第9回2018年10月16日(金)15時00分~16時00分
今回の勉強内容は、「リンチ症候群の重要事項の復習」と「免疫療法」について学びました。
「リンチ症候群の重要事項」です。質問形式で再確認しました。
Q1. 男女併せて最も多いのは、○○癌
1.大腸癌、2.肝臓がん、3.皮膚がん
Q2. 女性では、特に〇〇がんに注意
1.子宮体癌、2.白血病、3.骨肉腫
Q3. 大腸内視鏡検査について、正しいのは?
1.20歳から検査する、2.40歳から検査する、3.50歳から検査する
Q4. 大腸内視鏡について、正しいのは?
1.1-2年に1回検査する、2.3-4年に1回検査する、3.5-6年に1回検査する
Q5. 大腸内視鏡検査について、正しいのは?
1.ポリープは小さくても取り除く、2.ポリープは5mm以上を取り除く、3.ポリープは10mm以上を取り除く
皆さん、わかりましたか?答えは、全て「1」です。
「免疫療法」について、第7回の勉強会の復習と最新情報について学びました。
2つ以上の化学療法歴のある治癒切除不能な進行・再発胃癌を対象に免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ)が保険収載されていますが、年内にも標準治療が不応、不能となったマイクロサテライト不安定性検査でMSI-Hの固形癌を対象としてペムブロリズマブ(キイトルーダ)も保険収載される見込みとなっています。特定の臓器のみでなく、臓器横断的な適用となることが見込まれています。
リンチ症候群に発生する腫瘍の多くはMSI-Hを呈するといわれており、リンチ症候群の患者さんの薬物療法としてペムブロリズマブに多くの期待が寄せられています。
第8回2018年5月26日(土)16時00分~16時30分
平成30年第1回市民公開講座「みんなで考えるがんと遺伝~ゲノム情報を用いたがん予防と効率的ながん治療~」
認定遺伝カウンセラーである、大阪母子医療センターの松田圭子先生と、FMC東京クリニックの田村智英子先生を招聘し、講演していただきました。
なお、この市民公開講座は公益財団法人正力厚生会から協賛をいただき、開催しました。
ありがとうございました。
この場を借りて、お礼申し上げます。
講演を聞いて、「勉強になった」、「勇気付けられた」と、言った意見が聞かれました。
今回の市民公開講座は、計183名にご参加いただきました。
ご参加いただいた、皆様どうもありがとうございます。
市民公開講座のより詳しい内容は、会報誌、「ひまわりの会」だよりにも掲載されております。
ぜひそちらも、ご覧ください。
>「ひまわりの会」だよりのページはこちら
第7回2017年10月27日(金)15時~16時15分
大阪府立病院機構大阪母子医療センターより認定遺伝カウンセラーの松田圭子先生を招き、「遺伝カウンセリング~何のために、何を考えるの?~」をご講演いただきました。・最初に「遺伝カウンセラーとは?」と、先生の自己紹介や経歴をうかがいました。
・次に、「がんが遺伝するってどういうこと?」ということで改めて「がん」について発症の過程やがん発症に関わる遺伝子の話をしていただきました。
車の運転に例えたり、図柄を用いて詳しく説明して下さったのでとてもわかりやすかったです。
・そして私達リンチ症候群の家族的発症の仕方を家系図の例を用いて学びました。遺伝性を見極めるのはとても難しい事で、家系図はとても有効になるそうです。
・現在遺伝カウンセラーは、全国で200名の資格保有者がいます。
岩国医療センターでは、2006年から「家族性腫瘍相談外来」が発足し、松田先生他、数名の専門家による遺伝カウンセリングを提供しています。
→遺伝カウンセリング(PDF)
また、「リンチ症候群と免疫」について田中屋医師が解説しました。
天然痘は、紀元前1万年前以上も前からアジア、アフリカの農村で出現していた感染症で、致命率が極めて高く、20世紀だけでおよそ2~3億人が死亡した恐い病気です。
牛痘にかかると天然痘にかからない、すなわち免疫を獲得することが知られるようになり、1798年にイギリスの医学者、エドワード・ジェンナーが天然痘ワクチンを初めて開発しました。
免疫とは、すなわち「疫(悪性の伝染病)」を「免(まぬか・まぬが)れる」ことを意味します。
免疫は液性免疫(抗体)と細胞性免疫(リンパ球)に分類されますが、がんの免疫療法では細胞性免疫に関与するT細胞が中心的な役割を担っています。
がん治療法としてこれまで、1.外科手術、2.放射線療法、3.化学療法がありましたが、がん免疫療法は、これらに続く4番目のがん治療法の柱として注目されています。
がん免疫療法のひとつに、免疫チェックポイント阻害剤があります。これは、がん細胞が免疫から逃れようとT細胞にかけたブレーキを解除して、体内にもともとある免疫力を活用する薬です。
米国では2017年5月23日に、免疫チェックポイント阻害剤、ペムブロリズマブが“特定の条件”を満たす固形がんを対象に米食品医薬品局(FDA)から迅速承認さました。同年8月1日に、ニボルマブも、“特定の条件”を満たす転移性大腸がんを対象にFDAより迅速承認されました。
ペムブロリズマブとニボルマブが承認された際の“特定の条件”とは、「ミスマッチ修復機能の欠損を示す」というものでした。「ミスマッチ修復機能の欠損を示す」腫瘍は、リンチ症候群に限ったものではなく、一般の癌でも見られますが、リンチ症候群ではミスマッチ修復機能欠損を示す腫瘍が約90%と非常に高い割合を占めるため、免疫チェックポイント阻害剤は効果があると考えられています。
日本では、2017年9月に、ニボルマブが臨床試験を経て、胃がん対象に保険適用が認められ、今後リンチ症候群の治療薬として効果が期待されています。
第6回2017年5月19日(金)15時~16時
患者さん向けに、様々な疾患のガイドラインが発刊されていますが、リンチ症候群では、患者さんに向けたガイドラインはまだ発刊されていません。そこで、医療者向けの「遺伝性大腸癌診療ガイドライン2016年版」を用いての勉強会を行いました。今回は、
1.リンチ症候群の定義
2.ミスマッチ修復遺伝子の種類
3.変化の見つかった遺伝子別の、70歳までに発症するリスクの高いリンチ症候群関連腫瘍
4.推奨されている検査
について勉強しました。
さらに、第1回~第5回の勉強会で学んだ以下の内容を、セルフチェックテストで復習しました。
日本のリンチ症候群の体質を持つ患者さんは、
1.大腸癌、胃がん、子宮体がんに特に気をつけること
2.一般では、放置されることの多い5mm未満の大腸腺腫も摘除すること
3.リンチ症候群の大腸癌を発症した人の10%は20代で発症するため、大腸内視鏡は20代から始めること がポイントです。
第5回2016年11月11日(金)15時~16時
今回は、大腸がんを予防する生活習慣について学びました。京都府立医科大学の石川秀樹先生著、「『大腸がん』のことがよくわかる本~専門医が書いた最も信頼できる処方箋」をもとに、大腸がんにならないためには、どのような食事や生活をしたらよいか、10項目のテストをしました。
毎日朝ごはんを食べているか、牛乳・ヨーグルトなどは毎日とっているか、毎食野菜を欠かさず摂っているか、毎日歩いたり運動したりするよう心がけているか・・・などの質問10問を全員で答えました。
皆さん苦戦しておりましたが、成績優秀な方は、なんと10問中9問正解されていた方もいらっしゃいました。
また、質問の中に、1日に摂取してよい赤身肉の量の記載もありました。気になるこの質問。1日当たりの摂取量は、1日80グラム(みかん中1個ぐらい)以下が理想的とのことです。
従来、赤身肉の摂り過ぎは、大腸がんのリスクとなると言われていました。しかし、最新の情報によると、豚肉は、牛肉、羊肉、馬肉のような赤身肉に比べ、大腸がんを引き起こすリスクは、それほど高くない可能性が近年報告されました。
第4回2016年5月20日(金)15時~16時
大腸がん検診の開始年齢についてですが、日本のリンチ症候群の10%の方は、初発の大腸がんを25歳未満で発症していることが報告されています(大腸癌研究会のデータ)。つまり、20歳、成人式を迎えるころから検査をスタートする必要があるということです。20歳ごろになると、親元を離れるお子さんも多いことから、10歳代の後半頃から準備を始める必要があります。リンチ症候群の方のお子さんがリンチ症候群の体質を受け継ぐ可能性は50%です。
体質を受け継いでいるかどうかは、血液検査で調べることができます。(なお、遺伝学的検査を行う前には、しっかりとした遺伝カウンセリングを受けることが必須となっています。)
20歳ごろになると、親元を離れるお子さんが大半のため、10歳代の後半頃から準備を始める必要があります。
胃がん対策についてです。日本人のリンチ症候群では、胃がんは大腸がんに続いて頻度の高い腫瘍です。胃だけでなく十二指腸もしっかりチェックを受けましょう。内視鏡検査の開始は30ないし35歳で、1~2年毎の検査が勧められています。
なお、胃がんの発生にはピロリ菌感染の影響が大きいことがわかってきました。
ヨーロッパのガイドラインでは、胃癌の多い地域(日本などの東アジア諸国)では25歳以上の方を対象にピロリ菌に感染していないか検査することが勧められています。
ピロリ菌は、はき出す息で検査することができます(尿素呼気試験法)。感染していたら、3種類の薬を飲むことで除菌でき、胃がんのリスクを下げることが期待できます。
第3回2015年11月20日15時~16時
一般の大腸がんは、腺腫からがんになるまでおおよそ5~10年かかります。しかし、リンチ症候群の大腸がんは、1~3年と早いのです。そのため、大腸内視鏡を1-2年に1回は必ず受けること、そして腺腫を疑うポリープはサイズにかかわらず全て摘除するよう勧められていることを学びました。近年、がん細胞が免疫のはたらきに抑えて、免疫細胞(活性型細胞傷害性T細胞)からの攻撃を免れている(免疫寛容状態)ことがわかってきました。
そこで、がん細胞による免疫寛容を解除することで、細胞傷害性T細胞によるがん細胞障害性を回復させ、がん細胞を攻撃できるようにする新たな治療法が考えられました。
免疫チェックポイントと呼ばれている部分(PD-L1とPD-1の結合)を阻害する薬(免疫チェックポイント阻害薬)が実際に使用されるようになっています。
大腸癌のなかでは、マイクロサテライト不安定性という特徴を示すものに効果があるといわれています。リンチ症候群の大腸がんは大部分がマイクロサテライト不安定性を示すといわれており、免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待されています。
第2回2015年05月22日(金)15時~16時
医療費の助成対象が拡大したことを勉強しました。リンチ症候群は助成対象になっていないのですが、今後、助成対象となることを願っています。
(政府広報オンラインより引用:http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201412/3.html)
「難病の患者に対する医療等に関する法律」と「児童福祉法の一部を改正する法律」。平成27年1月1日施行。
新たな医療費助成制度では、安定的な制度とするために、「指定難病」や「小児慢性特定疾病」の患者さんへの医療費助成に要する費用の2分の1を、国が負担する(消費税から充当)ことが法律で定められました。
医療費助成の対象となる病気について、従来の56疾病から「指定難病」として約300疾病へ、小児慢性特定疾病は従来の514疾病から704疾病に拡大されました。
患者さんの自己負担の割合や負担の上限額が変わります。
リンチ症候群に限定した全国的な研究会が立ち上がったそうです。平成26年11月29日順天堂大学医学部で第1回リンチ症候群研究会シンポジウムが開催されました。研究会の発展を祈念しております。
第1回2014年11月28日(金)
まずは、リンチ症候群の歴史です。
リンチ症候群を初めて報告した米国ミシガン大学のワーチン先生、ワーチン先生の患者 ポーリン・グロス、疾患名のもとになった米国クレイトン大学のリンチ先生のことを勉強しました。リンチ症候群の家系に発生するがんは様々ですが、大腸がん、胃がん、子宮内膜がんの対策をしっかりすると、約80%以上はコントロールできます。欧米では少ない胃がんに対しても、わが国では対策が勧められています。
2011年医学専門誌「ランセット」では、高容量のアスピリンを長期間内服することがリンチ症候群の発がん予防に有効だったと、英国ニューカッスル大学ジョン・バーン氏が報告しました。現在、低用量でも効果があるかどうかについて、臨床試験が行われています。
2011年医学専門誌「ランセット」では、高容量のアスピリンを長期間内服することがリンチ症候群の発がん予防に有効だったと、英国ニューカッスル大学ジョン・バーン氏が報告しました。現在、低用量でも効果があるかどうかについて、臨床試験が行われています。